米国政府の外交に関する発言には、頻繁に「自由で開かれたインド太平洋」という概念が用いられるようになっている。トランプ大統領は先ほどのアジア歴訪で何度もこれに言及した。また米日豪首脳会談、米日豪印局長級会談が、フィリピンのASEAN首脳会議の会期中に開かれ、憶測を呼んだ。環球時報が伝えた。
「インド太平洋」という概念は米国のアジア戦略の従来の枠組みを壊すわけではないが、「アジア太平洋」とは異なる戦略的な視野と重点による再計画となりそうだ。これらは米国を中心とする戦略的構想であり、いずれも中国を念頭に置くが、インド太平洋はインドの力をさらに強調している。またアジア太平洋リバランスは基本的に、安全と経済の戦略を重視していた。インド太平洋戦略はまだ形成されていないが、日米のこれまでの発言を見ると、安全・経済協力・価値観の共有などより幅広い内容を含む。
アジア太平洋リバランスは粗末なものだが、何をするか比較的はっきりしており、ある程度の動きもあった。最終的に米国の戦略界とメディアの大多数によって、中国けん制・バランス調整の効果を発揮しなかったとされただけだ。
インド太平洋戦略という名称は人目を引くが、よく観察すると少なくとも現段階では中身がないことが分かる。米日豪印会議の枠組み構築、4カ国による合同演習などは困難で、大々的に取り組めば中国が反対することになる。そうなればインドと豪州は緊張するだろう。形式だけ整え婉曲的に探りを入れるだけでは、米日も満足しない。
最も重要なのは、この4カ国すべてが中国と緊密な貿易パートナーシップを結んでおり、かつ中国がどの国にとっても最大の貿易相手国になっていることだ。さらにインド太平洋諸国は中国との経済・貿易・人文関係を強化しており、「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)は多くの発展チャンスを創出した。この一帯で地政学の駆け引きを展開しようとしても足がかりが少なく、米日の手先になろうとする国もほとんどない。米日でさえ単独で行動に出れば、損失が出ることを恐れているほどだ。