「Toshiba、Toshiba、新時代の東芝!」 このキャッチフレーズを覚えている中国人は多いはずだ。ソニーや東芝、日立、三洋、松下などの日本の有名大型メーカーは当時、世界中の家電市場で輝きを誇っていた。日本の電気製品の広告は街中にあふれ、ハイクオリティの代名詞となっていた。だがそれももはや過去となってしまった。
11月14日、海信集団(ハイセンスグループ)傘下の上場企業である海信電器股フン有限公司は東芝株式会社と東京で、東芝映像ソリューション(Toshiba Visual Solutions Corporation、TVS)の株式の95%が海信に正式に譲渡されることを共同で宣言した。
株式譲渡の完了後、海信電器は、東芝テレビ製品のブランドや運営サービスなどの一括業務を手に入れ、東芝テレビの世界での40年にわたるブランドのライセンシングを受けることとなる。この株式譲渡金額は現在、129億円と見積もられている。
自力での立ち直りを急ぐ日本の東芝にとっても、急速な発展を遂げている中国の海信にとっても、この取引は「最良の選択」と言えるだろう。
東芝傘下のウェスティングハウス・エレクトリック社は、福島原発の放射能漏れ事故の影響を受け、原子力業務で大きな痛手を受け、ほかの業務も巻き添えとなり、債務超過という深刻な財務危機に陥った。2015財政年度、東芝の年間純損失は4832億円にのぼり、140年の歴史で最大の損失を計上した。
原発業務での大きな穴を埋めるため、東芝は、ありとあらゆるものを売却し始め、海外の製造工場を閉鎖し、大幅な人員削減に踏み切り、欧州や東南アジアなどの地域の商標権を売却するなど、世界的な大撤退を演じた。
映像業務に対しては、東芝はそれ以上の資源を投入するのは難しくなったが、TVSの競争力と企業価値を保持するため、大資本の所有者に頼るのが最良の選択だと考えた。優れた経営能力と分厚い資本を誇る海信にすがる結果となったのは自然な流れと言える。
海信にとっては、東芝は画質技術の面で豊かな技術の蓄積を持っており、高画質チップや画像処理の核心アルゴリズムなどで数千件の特許を持っており、今回の買収が海信の画質表示能力の向上に利するものとなることは間違いない。
また海信は世界のカラーテレビ市場で3位につけているが、サムスンとLGとはまだ一定の距離がある。東芝は今でこそ苦境に陥っているが、ハード面での実力はまだ非常に高く、日本本土の市場では2位を保っている。東芝を手に入れれば、海信の国際カラーテレビ市場における地位を固める役にも立つ。
このように今回の東芝傘下の映像業務の海信による買収はウィンウィンの取引であり、二者の連合によって「1+1>2」のビジネス効果を生み、テレビ産業全体の未来に新たな突破口を与えるものと言える。
海外での買収を強める中国企業