海外での買収を強める中国企業
近年、中国の家電メーカーが海外展開し、国外企業のM&Aを行うケースは珍しくなくなっている。2010年にはすでに、パイオニアのテレビブランドの中国での使用権は蘇寧に売却されていた。その後、中国の家電メーカーによる国際的な買収の歩みはとどまるところを知らないものとなった。ここ数年での中国家電の海外での買収の成果を振り返ってみよう。
最も早く海外に打って出た海爾(ハイアール)は2011年、日本の老舗家電メーカーの三洋電機の日本とインドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムでの洗濯機と冷蔵庫の開発・販売業務を1億2830万ドルで買収した。2012年にはまた、約7億6600万ドルを投じて、ニュージーランドの「国宝級」のキッチン家電メーカーであるフィッシャー・アンド・パイケルを手に入れた。2016年にはさらに、世界トップクラスの家電メーカーであるゼネラル・エレクトリックの家電業務を55億ドルで買収した。
2015年には国産テレビ大手の長虹が、三洋のテレビ業務を松下から受け継いだ。創維(スカイワース)もこれに続いてドイツのテレビメーカーのメッツのテレビ業務とシャープのメキシコの生産ラインを買収した。同年末にはTCLが米国ノバテル・ワイヤレス社のMiFi業務を買収した。
白物家電業界の代表格である美的(ミデア)の海外買収業務もこれに負けてはいない。美的電器は2011年11月、キヤリアのラテンアメリカの空調業務企業の51%の株式を2億2330万ドルで買収し、美的の家電の世界での配置を改善した。美的は2015年にも、東芝の白色家電業務の80.1%の株式を33億元で買収した。
聯想(レノボ)は日本NECの90%の株式と富士通のパソコン業務の51%の株式を獲得している。今年はシャープが鴻海(ホンハイ)に「嫁入り」した。
中国企業に買収された日本の伝統ブランドは少なくない。ソニーや松下を除けば、その他の家電ブランドはほとんどが中国企業に再編されている。東芝やタカタ、NECなど、かつて世界の家電市場を席巻した日本の大手企業はもはや輝きを失ってしまったようである。
世界的な協力で失われた日本の強み