「貞子の父」である鈴木氏は中日協力について語ったほか、当時の「貞子」の制作と映像化についても紹介した。鈴木氏は、「『リング』を書き始めた時はホラー小説にするつもりはなかった。第1部は3カ月ほどで完成し、骨組みがなく、4人の男女が異なる場所で死亡し雑誌編集者が理論的に解明するという設定で書き進め、自分でもどうなるかわからなかった。その後、SF要素が必要になり、非現実的な女性役として山村貞子が生まれた」と話した。
『リング』第1部の出版から約30年が経った。同シリーズはわずか数年で830万冊を売り上げ、日本版と米国版の映画も大盛況となり、東洋ホラー文学の地位を確立した。
「30年前の作品がハリウッドにまで行き、映画になるとは思っていなかった」と鈴木氏。2018年1月、ハリウッド版『リング』の第3部が日本で公開される。
映画の成功により、貞子はホラーの典型的なイメージになった。鈴木氏は、映画の力は原作の貞子のイメージに影響力を持たせたと話す。映画の貞子がテレビから出てくる設定は原作にはないが、鈴木氏は監督やプロデューサーと話し合ってこのシーンを入れたという。
『リング』は歴史的要素も引用している。貞子の両親について、鈴木氏は「1920~30年代の歴史的出来事がもとになっている。太平洋戦争前に日本で起きた非常に有名な出来事で、ある大学の心理学助教授が女性超能力者の実験を行ったことと関係している」と明かした。