日本では毎年12月12日、人々の投票を通じて、その年の世相や庶民生活を反映した漢字が選ばれる。日本の安倍晋三首相は今回、自分の今年の漢字として「挑」を選び、少子高齢化と朝鮮の脅威という「国難」に対して、「今年(2017年)は『国難』に挑むため、総選挙に挑んだ年だった」と語った。だが2017年に安倍首相が挑んだ「国難」とはいったい何だったのだろうか。
「国難」はただの政治的な操作
2012年12月に自民党を率いて民主党から政権を奪還し、2度目の首相の座に就いて以来、今年的12月26日、第二次安倍政権は満5年を迎える。この5年、経済と外交・安全保障を執政の「両輪」とし、政治や経済、外交などの議題で次々と話題を集めながら、安倍首相は、堅調な内閣支持率を後ろ盾とし、首相官邸が主導する「一強体制」を構築し、強硬手段で知られた小泉純一郎元首相でもかなわなかった政治局面の実現に成功した。
安倍首相はこの間、野党の反対意見を無視し、「特定秘密保護法」や集団的自衛権を解禁する「安全保障関連法」、「共謀罪」などの一連の物議をかもす法案を次々と強行に主導・採決し、日本の戦後で最も権力を持った首相となった。同時に安倍首相のひそかな差し金の下、自民党は今年3月、安倍首相のために党則を修正し、党総裁選での連続三選を可能となり、安倍首相が日本史上で在任期間が最も長い首相となることに道が整えられた。今年上半期まで安倍首相はまさに比類のない輝きを放っていたと言えよう。
だが古人は「水満則溢、月盈則虧」(水が満ちればこぼれ、月が満ちれば欠ける)と言った。日本メディアが今年3月、国有地が格安で払い下げられた「森友学園」と学校新設に不当な便宜がはかられた「加計学園」などの一連のスキャンダルに安倍夫妻がかかわっていたことを相次いで報じると、局面をコントロールしていると自認する安倍首相は国会と世論の質疑に対し、国会質疑で依然として傲慢で民意を無視した態度を取り、自らの関与を強硬に否定しながらつじつま合わせには失敗し、これらのスキャンダルの拡大によって日本の民意の強い反発を招くこととなった。安倍首相の率いる自民党はまず、7月の東京都議会選で大敗し、安倍政権の支持率はその後のわずか一カ月で急速に下落し、最低で29%にまで落ち込み、苦心して作り上げた「安倍一強」神話は崩壊の危機に直面した。
政権の危機に直面した安倍首相は、9月末に始まる臨時国会で野党に再度質問攻めにされるのを避けるため、臨時国会初日の9月28日に衆議院解散と総選挙の実施を宣言し、さらにはこの選挙を「国難突破」のための選挙と名付け、危機のムードをあおることによって自らの強力な執政への支持を有権者に呼びかけた。安倍首相のいう国難とは、一つは朝鮮の核ミサイルの脅威、もう一つは少子高齢化とそれによってもたらされる深刻な社会問題とされた。日本の学者はこれに対し、「国難」とは、外国の侵略や大自然災害などで国家が存亡の危機を迎えたことを指す言葉だが、安倍首相が自らの執政の実績を誇張し、その統治下で日本の各地が発展していると主張する一方、「国難」という概念を持ち出すのは、まったく理解することができないと指摘している。朝鮮が核とミサイルの開発を続けていることは、日本を含む東アジア地域の平和に確かに脅威となっている。だが朝鮮は核を保有しても日本を侵略する意図は示しておらず、日本に対するその脅威は「国難」のレベルにははるかに達していない。少子高齢化の問題は日本を長期にわたって悩ませている問題だが、世界的に広まる問題であり、安倍首相がこれを国家の存亡を左右するものに押し上げるのは大げさだ。安倍首相が2017年に挑むとした「国難」は、執政の危機を脱するための見せかけであり、政治的な操作であり、賭けでしかなかったことがわかる。