「安倍一強」の根幹を揺るがす事態も
だが10月の日本の衆議院総選挙の結果は、安倍首相の政治的な賭けが再び成功したことを示した。選挙後の世論調査では、日本人回答者の78.8%が、森友学園や加計学園などの問題についての安倍政権のこれまでの解釈を受け入れられないとしている。だが野党の分裂し、有権者の信任を得られない中、安倍首相が率いる自民党は再び選挙での勝利を実現した。東京の一橋大学社会学部の中北浩爾教授はこれについて、安倍首相がこのような受け身の状況下で依然として選挙で勝利したことは、日本の有権者が現状維持をやむなしと考えていることを示したと指摘する。とりわけ野党の没落によって有権者は選択肢を失い、与党の自民党を消極的に認め、安倍政権を認めざるを得ない傾向にある。
安倍首相の今後の執政について、ある日本メディアは最近、第二次安倍政権は客観的に見て、小泉首相の長期政権の後に続いた「一年一首相」という不安定な政治状況を改変し、政治と社会の安定を保ったと論じた。経済的には、今年10月までに59カ月連続で拡大し、戦後2番目に長い成長を実現し、日経平均株価は1992年1月のバブル期以来の高値をつけた。同時に企業の有效求人倍率は日本各地で1.0を上回り、日本経済はついに回復傾向を示しているようだ。これが安倍政権が長期にわたって高い支持率を維持した土台となり、「安倍一強」の局面の形成を推進した。だがこれは同時に、安倍政権の傲慢と怠惰を生むことともなった。調子よく始まった2017年の安倍政権が、結局事なきを得るも途中失速したことは、この状況に警鐘を鳴らすものとも考えられる。日本の各大型メディアが最近発表した世論調査の結果によると、安倍政権の現在の支持率は4割前後にすぎず、不支持率とほぼ同じで、以前の高い支持率にははるかに及んでいない。これは、安倍政権に対する日本の有権者の目がまだ厳しいことを示している。
それにもかかわらず、総選挙で再び政権を安定させた安倍首相は最近、改憲問題での動きをまた開始している。19日の講演では再び、「『憲法』について議論を深め、国の形、あり方を大いに論じるべきだ」と与野党に呼びかけた。あるアナリストはこれについて、安倍首相にとって改憲は政治的宿願だが、与野党は現状で改憲すべきかについて合意を形成しておらず、日本国民の多くも性急な改憲議論には否定的な態度を取っており、安倍首相は来年、改憲で精力を使うよりも、日本経済の再建で実績を上げることに引き続き専念し、日本国民の信頼を再び勝ち取るようにした方がいいと警告している。もし安倍首相が今後も改憲問題にこだわり、自民党などの改憲勢力の議席数での優勢によって国会での改憲プロセスの推進を強行すれば、安倍政権に対する批判が再び起こり、国民世論の強い反感を招き、政権の根幹を揺るがすことにもなりかねない。そうなってから安倍首相が再び「国難」によって政治的な賭けに出ても、同じような効果を上げることができるかはわからない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月2日