中国では年初から、環境汚染リスクが高く、人々の強い批判を受けている廃プラスチックや分別されていない古紙、紡織原料廃棄物、バナジウムスラグなど24種類の固体廃棄物の輸入が全面的に禁止された。西側の多くの国の廃棄物回収業者が頭を抱えている。
アナリストによると、固体廃棄物の輸入基準を大幅に高めた中国の措置は、米国やオーストラリア、日本などの「外国ゴミ」輸出国を確かに悩ませている。だが中国のこの措置は、自国の環境保護事業の推進に有利となるだけでなく、長期的に見れば、これらの輸出国さらには世界の固体廃棄物の循環利用産業の発展と技術の進歩を促進するものともなる。
米国:中国の新基準に対応するために人工知能を導入
統計データによると、米国は、回収可能なゴミを世界で最も多く産出しており、その約3分の1は国外に輸出され、輸出ゴミの約半分は中国に流入している。
米国スクラップ・リサイクル業協会の統計によると、2016年に米国が中国に輸出した回収可能ゴミの総額は56億ドル(約362億元)に達し、そのうち約半分は紙製品の廃棄物で、重量は1300万トンを超える。中国が「外国ゴミ」の輸入禁止令を昨年7月に打ち出した後、米国の回収可能廃棄物の価格は下がり続けている。昨年10月、古紙の価格は35%から40%も暴落した。
「分別されていない古紙」とは、回収可能な古紙に回収不可能な物の混ざった廃棄物を指す。米国の廃棄物回収作業員も、回収可能古紙用のゴミ箱にガラス瓶やフェルト、かばん、セーターのような回収不可能物が捨てられるのをしばしば見かけると認めている。二次分別作業はこれまで中国が行っており、時間や労力がかかる上、環境保護面でのリスクもあった。
米メディアの報道によると、中国が今回、固体廃棄物の輸入基準を大幅に高め、回収可能物中の回収不可能物の割合を0.5%に制限したことは、米国の廃棄物回収業に「実現不可能な任務」をつきつけている。
だが米国スクラップ・リサイクル業協会のシニアディレクターを務めるアディナ・アドラー氏は、中国の高い基準と厳しい要求は、米国企業にとっては悪いこととは限らないと指摘する。中国の設定した輸入基準を満たすため、米国の廃棄物回収企業の一部は、高い投資を惜しまず、人工知能を使ったゴミの分別を始めている。
米国の多くの廃棄物回収企業にとっては、ゴミの分類を細かくし、回収可能ゴミの「清潔性」を大本から制御することが、今後の最も現実的な選択となる。