麗澤大学特任教授 三潴 正道
「中国人の人と良く一緒に食事するんだけど……」
「けど、何だい?」
「いつもおごってくれるのよね。あなたもだけど」
「ここは中国で君はお客さん、当然さ」
「そう!みんなそう言うのよね」
「そんなこと気にすることないよ」
「そうはいかないわよ。何とかこっちが払う手はないかしら」
「それは難しいね」
「でもAA制っていう割り勘もあるって本に書いてあったわ」
「本は本、中国人はまずやらないね」
「中国の人たちだけで食事をする時はどうなるの?」
「誰かが払うさ」
「どうやって決めるの?」
「例えば暗黙の了解。今日は俺の番」
「順繰りってわけ?」
「次はA君の番」
「よく一緒に食事するのならいいけど、そうじゃなかったら?」
「争う!」
「エッ?争う?」
「そう、機転が利く人、押しの強い人、力の強い人の勝ち!」
「日本でも、相手がトイレに立った時がチャンス、って言うだけど」
「中国も同じさ。だからテーブルの伝票を先にポケットに入れたほうが勝ち!」
「私、それやろうとしたの。でもすぐむしり取られた」
「僕の習った日本人の先生は賢かったよ」
「どうやったのかしら」
「いつも相手の中国人先生に負けちゃうんだって。力の強い人だったそうだ」
「それで?」
「ある時、ラグビー部の学生を相手の先生の両脇に座らせた」
「???」
「先生が伝票を取って会計に行こうとしたら中国人の先生もすかさず立ち上がろうとした」
「やっぱり」
「その時、先生がパチンと指を鳴らすと、両脇の学生が相手の先生を押さえ込んだ」
「相手の先生は必死にもがいたけど、もう後の祭り」
「すごーい、作戦大成功ね!」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年2月27日