今年5月5日は、マルクス生誕200周年に当たる。新華網は、日本で200万冊以上を売り上げるベストセラーとなった「若者よ、マルクスを読もう」と「マルクスの心を聴く旅」の著者の一人、日本神戸女学院大学教授の内田樹氏に、マルクスの魅力を聞いた。
――内田教授がマルクスを読み始めたのはいつですか? 好きな作品とその魅力は?
最初にマルクスを読んだのは高校一年生の時です。「共産党宣言」でした。マルクスの著作で一番好きなのは「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」です。これはロンドンにいたマルクスが、ニューヨークの友人に依頼されて、アメリカのドイツ語話者のための雑誌に書いた、フランスの政治的事件についての分析記事です。この入り組んだ執筆事情のせいで、マルクスの天才的な「説明能力の高さ」が遺憾なく発揮されています。同じ条件の下でこれだけ明快で深遠な分析記事を書くことのできたジャーナリストが果たしてその時代のアメリカやヨーロッパにいたかを考えてみるとマルクスの偉大さが分かると思います。
マルクスの文体の疾走感や比喩の鮮やかさや畳み込むような論証や驚くべき論理の飛躍は独特の「グルーヴ感」をもたらします。マルクスの語りについてゆくだけで頭が熱くなる。いささか不穏当な比喩ですけれど、ロックンロールなんです。マルクスのテクストは。