――マルクス主義の日本への影響についてご説明いただけますか。特に現在の日本への影響について。
日本では1920年代以後現代にいたるまで、マルクス主義を掲げる無数の政治組織が切れ目なく存続し続けてきました。戦後の社会運動の多くはマルクス主義の旗の下に行われました。特に学生たちの運動はほとんどすべてがマルクス主義を掲げていました。国民感情はその後「経済力でアメリカを圧倒する」という熱狂的な経済成長至上主義にかたちを変えることになります。
日本では、マルクスは政治綱領としてよりはむしろ「教養書」として読まれてきました。マルクスを読むことは日本において久しく「知的成熟の一階梯」だと信じられてきました。
――教授はマルクスの多くの著作を読んできました。マルクスとその著作を知ることは、若者にとってどのような助けになりますか。
僕たちはマルクスを読んで、広々とした歴史的展望の中で、深い人間性理解に基づいて、複雑な事象を解明することのできる知性が存在するということを知ります。
そのような知性がもしここにいて、今のこの歴史的現実を前にしたときに、どういう分析を行い、どういう解を導き出すかということは自分で身銭を切って、自力で想像してみるしかありません。それはマルクスをロールモデルにして自分自身を知的に成熟させてゆくということです。
若い人たちが知性的・感性的に成熟して、深く豊かな人間理解に至るためにマルクスはきわめてすぐれた「先達」です。このアドバイスはどの時代のどの国の若者たちに対しても等しく有効だろうと僕は信じています。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月8日