高水準一体化が直面している課題を見ると、アジア一体化の建設は苦しい事業であり、かつ多くの現実的な問題を抱えている。まず、地域の経済影響力が日増しに拡大しているが、アジアの外交には統一的な地域の声がなく、紛争や問題が生じると外交で論戦を展開することが多い。戦略的には各国の利益に同時に配慮する統一的な計画がなく、一部のプランは他国に利益をもたらしておらず、一部の理念には競争やけん制の発想が満ち溢れている。次に、制度設計には経済・貿易を重視し外交を軽視し、国を重視し地域を軽視し、ビジネスを重視し文化を軽視するといった短絡的な考えが存在している。一部の政治連携は、経済成長や競争力強化のために行われている。それから、外交・主権・文化をめぐり国家主義と多様性を過度に求めるアジアの遺伝子は、高度一体化が必要とする地域経済・文化・政治の統合と排斥し合っている。アジア経済が日増しに活発化するが外交・戦略調整が難しくなり、人文交流が拡大を続けるが文化の意思疎通が一体化をめぐる協力に効果的に反映されないという、一種の乖離現象が生じている。
特色あふれる一体化の手段の模索について、アジア一体化の建設は多くのチャンスを迎えており、高水準の一体化の手段に積極的な変化が生じている。まず、外交・戦略面で「大アジア」という理念を確立し、国益を極力確保しながらアジアの声を伝えるよう心を一つにして協力し、アジアの主張を届ける必要がある。中国が2014年に打ち出したアジア安全観、今年5月に開催された中日韓首脳会議は良き試みだ。次に、理念面でアジア運命共同体の意識と共通認識を打ち立てる。大陸を跨ぐ一体化の着実な進行は、共に認める理念を基礎としなければならない。アジア運命共同体のビジョンは各国の発展の需要に合致し、アジアの地域協力が運命共同体の理念に基づかなければならない。経済共同体や運命共同体へのモデルチェンジが避けられない勢いだ。それから、アジアの帰属感と一体化の認識を形成する。アジアに目を向けると、地域の駆け引きが弱まり、対話に大きな好転が見られる。客観的・理性的・包括的を基礎とする帰属感と価値観の成長空間が拡大しており、共通する文明の意識をけん引力とし多様化する文化を基礎とする、一体化の文化的な意識の歩み寄りが実現に向かっている。
未来のアジアはEUを超越する高度一体化モデルを実現し、北米自由貿易協定を超越するアジアのモデルを創り出すことができるだろうか。答えは「イエス」であり、これは時間の問題に過ぎない。しかしこの答えは、慎重に導き出されたものだ。これは一体化が進むアジアが依然として、二国間・多国間、地域内・域外の多くの不利な要素に直面しているからだ。一部の問題と課題は短期間内に解消できず、知恵・勇気・責任を持ち取り組む必要がある。とは言え、地域協力の大きな流れが形成されれば、それを止められる者はない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月31日