「最も手強い相手」
翁長知事は1950年冲縄県那霸市生まれ。かつて14年にわたって那霸市長を務めた。2014年に市長を辞し、与党自民党を離れて冲縄県知事選に出馬、再選をはかった仲井真弘多前知事に10万票近くの差で圧勝した。翁長知事が有権者の支持を受けたのは、在日米軍に対し、普天間にある基地を辺野古に移設するのではなく、冲縄からなくすことをはっきりと求めたためだ。
冲縄的の米軍基地問題は非常に複雑で、背景には、深刻な歴史的原因と日米同盟の戦略的考慮のほか、冲縄と日本本土の間の政治的な駆け引きや民意の綱引き、積もり積もった感情もある。現在では、在任米軍基地の多くが冲縄に集中している。
今年4月に膵臓がんで手術を受け、後続の治療を進めてきた翁長知事は、公の場にはほとんど顔を見せなくなっている。6月に式典に出席してあいさつした際には、米軍基地の移設問題で日本政府を批判した。「民意を顧みず工事が進められている辺野古新基地建設は、沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジア(朝鮮半島)の緊張緩和の流れにも逆行していると言わざるを得ず、全く容認できるものではない」
翁長知事は、米軍基地から派生する事件・事故、騒音をはじめとする一連の問題に県民は苦しんでいると訴えた。
11月の冲縄県知事選挙は反基地陣営にとっては「背水の陣」となる。宜野湾市の佐喜真淳市長は最近、菅義偉内閣官房長官ら連立与党の上層部の支持を得たと伝えられており、政府陣営を代表して冲縄県知事選に出馬する可能性もある。翁長知事はまだがんのリハビリ治療中だが、再選を目指す見通しと伝える日本メディアもある。反基地陣営は翁長知事の体調を心配すると同時に、期待も高めている。自民党関係者は、翁長知事が出馬すれば辺野古基地問題が再び最大の焦点となるとして「翁長知事は最も手強い相手」と警戒をあらわにしている。
「『辺野古に新基地を造らせない』という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはない」と翁長知事は語る。「沖縄の米軍基地問題は、日本全体の安全保障の問題であり、国民全体で負担すべきものだ。国民には、沖縄の基地の現状や日米安全保障体制のあり方について、真摯(しんし)に考えてほしい」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年8月3日