(二)日本の日米安保同盟の認識に揺らぎが生じている。安保同盟は日米関係の軸だ。戦後70年以上に渡り、日本では政府も民間も「米国はきっと私たちを守ってくれる」という幻想を抱いている。そのためトランプ氏が「自分の国は自分で守れ」と発言すると、日本は落ち着きを失った。日本はシリア情勢が徐々にロシアにコントロールされ、米国が傍観に留まるのを目の当たりにしている。米国が、中東や欧州で警察の役割を演じるべきではないと判断するならば、日本は米国のアジアにおける実力の維持についても疑問を抱く理由がある。
(三)日本経済は地域の発展への依存を強めている。中国を主な脅威と認定した野田政権は当時、経済を武器に「中国経済は日本との係争の悪化により損失を被る」と警告した。今や双方間の経済的利益の距離が広がるにつれ、日本は経済で中国を脅迫できなくなった。
米国はもはやアジアの成長を支える中心的な力ではない。東アジアと東南アジアの対米輸出が輸出全体に占める割合は、1980年代中頃の35%から2016年の15%に低下している。これはアジア内部の貿易が急成長しているからだ。またASEAN10カ国と中日韓など6カ国が交渉中のRCEPが合意に達すれば、世界の半数の人口、世界経済の3割を網羅するスーパー自由貿易圏が形成される。日本は当然ながら、日本の発展には東アジア諸国との幅広い協力が不可欠と認識するだろう。
(四)民主を求める外交が失敗した。安倍氏は外交を主戦場とする政治家であり、価値観外交を提唱している。ところが安倍氏の任期中、西側の民主は最も苦しい時を迎えた。日本は価値観外交の限界を認識している。
日本は現在まだ米国の「監護」を必要としている。その原因は根深い親米思想を持つ勢力で、日本の多くの政治家は日米同盟以外の選択肢を見つけていない。安倍政権は現在、日米同盟への絶対的な忠誠を示しながら、一連の重大分野で独自の方針を打ち立てている。日本の戦略転換がますます顕著になっている。(筆者・孫培松 江蘇省連雲港発展研究院長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年10月20日