日露両国の首脳、安倍晋三氏とプーチン氏が先ほどシンガポールで会談した。双方は日ソ共同宣言を基礎とし、日露平和友好条約の交渉を推進することで合意した。これはプーチン氏が今年9月、両国は「前提条件を設けず」平和条約を締結すべきと提案した後で、初の日露首脳会談となった。日露の領土問題の解決に希望が見えてきたかのようだが、同問題の実質的な進展は現時点の条件ではやや困難だ。
ロシアのウェブサイトが伝えたように、ロシア側は四島を結ぶチェーンの一環が失われれば、ロシアが太平洋に向かう航路に大きな「隙間」が生じるため、「米国の空母と正面から遭遇してもおかしくはない」ことを懸念している。ロシアの軍事専門家は、領土問題解決の前提は、日本全国からの米軍の撤退だとしている。さもなければこのような「主権なき国」と交渉と協議を進めることはできないというのだ。
現在の日露両国の「歩み寄り」には、各自の現実的な需要がある。プーチン氏は今年4期目をスタートさせた後、2024年までにロシアを世界トップ5の経済国に発展させると述べた。経済発展、国民生活の改善が、その政策の軸となる。ロシアは近年、極東のシベリアの発展に積極的に取り組んでいる。西側世界と対立する不利な環境の中、アジア太平洋の経済急成長の機会を借り、東部・西部の経済発展の不均衡を改善し、強国の目標を達成しようとしている。極東の開発は海外(特に近隣の日本)からの技術と資金が必要だ。さらにプーチン氏は領土交渉を契機とし、日本を突破口とすることで、西側の集団的な対露制裁を解除しようとしている。