中国がいまだ発展途上国である理由

中国がいまだ発展途上国である理由。

タグ:中国 発展途上国

発信時間:2019-04-26 16:39:38 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

中国社会科学院世界経済と政治研究所助手研究員 邱静=文 虞向軍=写真


  最近、欧州の友人たちに状況を説明しようとして、中国は最大の発展途上国だと言ったとたん、みな笑い出した。彼らは、中国は超大国とは言えても、発展途上国だなんて謙遜して言うのは、ちょっとユーモラスであると考えたのだ。これらの人は無知なわけではなく、長く世界中を歩き回り、欧米の先進国のみならず、アジア・アフリカ・ラテンアメリカなどの発展途上国にも行ったことのある人ばかりで、当然中国のいろんな場所にも行っている。中国が与える印象とは、東部にある北京・上海であっても西部にある重慶・西安などの都市であっても、欧州の大都市よりも立派な建物が建ち並び、都市生活の利便性も先進国に匹敵するというものだ。長年、中国の経済は急速に成長し、米国に次ぐ世界第二位の経済大国となり、騰訊(テンセント)・華為(ファーウェイ)・アリババなどの多くのハイテク企業を擁している。さらに、欧米メディアの中米貿易紛争に関する最近の報道の中では一般的に、中国は急速に興起した「先進国」であり、長年世界のトップであり続けた米国の地位を脅かそうとしていると描写されている。



2019年4月7日、重慶・豊都にある田舎の農家


 今年はちょうど新中国成立70周年にあたり、中国の発展が大きな成果を得ているのは間違いないが、欧米の先進国に比べると中国は今のところやはり発展途上国であり、まさに「船が川の中流に差し掛かると波が急に荒くなり、人が山の中腹に差し掛かると急に険しくなる」というような時期にあって、先進国になるにはいまだ遠い道のりがある。


 まず、発展がアンバランスで、都市と農村との二重構造が特に顕著である。中国の現在の都市化率は58%で、先進国の80%前後というレベルよりも低い。中国の都市と農村部の住民との所得格差は大きく、都市部住民の可処分所得は農村住民の2.7倍であり、都市部住民の一人当たりの消費支出は農村住民の2.2倍となっている。都市と農村のインフラや公共サービスの差も顕著である。



西部地域の交通インフラ建設は東部地域に比べると明らかに立ち遅れている


 前述の欧州の友人たちが行ったことのある中国の地方を例にとると、彼らは中国の都市あるいは観光ポイントを押さえてはいるが、中国の農村に行ったことのある人はほとんどおらず、ましてや貧しい辺境地帯に行ったことのある人はいない。貧しく立ち遅れている地方には道路もないため、彼らは行くことができない。中国の農村の貧困脱出のスローガンに、「豊かになりたかったら、まず道をつくりなさい」というものがあるが、中国は道路建設の上で比較的大きな進展を得ているとはいっても、道路の総距離や密度はいまだに低い。2017年、中国の道路密度は一平方キロメートルあたり0.51㌔で、ドイツの数字は一平方キロメートルあたり5.8㌔にも達している。ポーランドでは一平方キロメートルあたり2.7㌔で、インドでも一平方キロメートルあたり1.8㌔に達している。 


 衛生施設を例にとると、インド映画『Toilet:Ek Prem Katha』では、農村にはふつうトイレがないという現状が描かれている。中国の農村も同様の問題を抱えている。中国の農村の衛生施設建設レベルの低さはトイレで示すことができる。中国では2015年から、「トイレ革命」がスタートし、3年余りの間に7万カ所ものトイレが改造・新設された。それでも中国の農村で衛生的な便器を使用している割合は36.2%に過ぎず、くみ取り式トイレを使っているのが58.6%、トイレがない家もいまだ469万戸あり、2.0%を占めている。同様に飲用水・病院・通信施設などの方面で、中国の農村には大いに改良の余地がある。 


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