G20サミットの開幕目前という重要な時期に日本に不満を漏らし脅威を与えたが、米政府には当然ながらより深い目論見がある。米国は経済戦争を主戦場とし中国をけん制し圧力をかけるインド太平洋戦略を全面的に展開中だが、この時期に日米同盟関係を疑問視することには、日本に同盟国の立場を支持させ、多国間・多分野の駆け引きにおいて米国側に歩み寄らせ、中国を孤立させ包囲に協力させる目的があるのだろう。
米国はインド太平洋戦略を掲げ支持者を集め中国に対抗しようと躍起になっているが、当然ながら同盟国に脅しをかけるため戦いの方向を転じることはない。同盟国への暗示と圧力は単なる手段であり、真の目的は同盟国が米国の競争相手と互いに秋波を送り、同盟関係の主に対する態度を曖昧にするのを防ぐことにある。
実際に米国は声を枯らしながらも、国際構造と戦略的情勢に生じている密かな変化に気づいている。冷戦直後の米国と西側陣営の団結の勢いはすでに失われており、かつての同盟国は新たな情勢と利益を前にし各自の腹積もりを持っている。北東アジアはもはや米国主導の同盟関係の一枚岩ではなくなっている。
地域諸国間の関係の緩和と改善、それから欧州の大国がロシア対抗から距離を置いていることを受け、トランプ氏が率いる米国は警戒せざるを得なくなっている。G20大阪サミットの場を借りて日本を名指しし、日本の国際政治路線の方向を指定し、同時に日本を利用し主な競争相手を包囲し狙い撃ちにする。これは実に得難いチャンスだ。(筆者・楊育才 国防大学教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年7月4日