「精神的奇襲」、日本の新たな禍機に?

中国網日本語版  |  2021-12-31

「精神的奇襲」、日本の新たな禍機に?。ところが米国は今回反応が鈍く、さらにはこの事実を信じようとしない人もいるほどだ。日本の政治家が日本軍による真珠湾奇襲80周年に際し靖国神社を集団参拝したことについては、AP通信が同日伝えただけで、米国側はほぼ沈黙を保った…

タグ:太平洋戦争 真珠湾 海軍基地

発信時間:2021-12-31 16:15:21 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本のNHKは30日夜、太平洋戦争80年特集ドラマ「倫敦ノ山本五十六」を放送した。日本軍による80年前の真珠湾奇襲を指揮したのは、かつて米国に憎まれた日本海軍連合艦隊司令官の山本五十六だ。注意すべきは、日本のテレビ局が今年12月7日以降、絶えず山本五十六に関する特別番組を放送し、いわゆる「真実の山本五十六」について語っていることだ。


 これらの念入りに作られたテレビ番組は山本が残した手紙などを使い、山本が日米の実力差が大きすぎるため米国への開戦に反対していたが、国が開戦を決定した後は軍人として全力で勝利を収めようとしたことを証明しようと躍起になった。これは米国をなだめると同時に、山本を一人の「軍神」として祭り上げようとしているようだ。日本の鎌倉幕府末期の楠木正成も、多勢に無勢で勝利は困難であることを知りながら天皇に忠誠を尽くし戦死することを選んだことから、第二次大戦中に日本の「軍神」とされた。「2021年度防衛白書」の墨絵表紙には初めて楠木正成が描かれた。さらに最近、海上自衛隊と海上保安庁が中国領・釣魚島を念頭に置く合同演習を行ったことを考えると、日本が精神と戦力の両面から危険なシグナルを出していると感じざるを得ない。


 80年前の1941年12月7日(日本時間は12月8日)、日本軍は米国のハワイの真珠湾にある海軍基地を奇襲し、2335人の軍人と68人の一般人が命を落とした。ところが米国が真珠湾事件80周年記念活動を催すなか、太平洋の対岸で異変が生じた。日本の国会の超党派議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」に所属する議員99人が靖国神社を集団参拝した。うち衆院議員は68人、参院議員は31人で、与党の自民党、野党の維新の会と国民民主党の議員のほか、さらには岸田内閣の副大臣が含まれた。


 日本の国会議員による集団参拝は、新型コロナウイルスの流行前の2019年10月18日の秋季大祭ぶり。同会の会長、元参議院副議長の尾辻秀久氏は、「国難に殉じた英霊にコロナという国難に見舞われている日本を守ってくださいと祈りながら参拝した」と述べた。この集団参拝は、日本軍による真珠湾奇襲から80年後に、その後の世代が仕掛けた「精神的な真珠湾奇襲」と言える。選択した時期と効果を考えると、綿密に計画されたもののようだ。


 2013年12月に時の安倍晋三首相が靖国神社を参拝すると、中韓から非難されたばかりか、在日米国大使館も「米政府は近隣諸国との緊張を激化させる行動に失望した」と表明した。他にも米国、スイス、ドイツ、英国などの欧米メディアも「遺憾」もしくは「失望」を示した。


 ところが米国は今回反応が鈍く、さらにはこの事実を信じようとしない人もいるほどだ。日本の政治家が日本軍による真珠湾奇襲80周年に際し靖国神社を集団参拝したことについては、AP通信が同日伝えただけで、米国側はほぼ沈黙を保った。米日間の戦争観と歴史観の食い違いは、いわゆる「自由、民主主義」といった共通の価値観によって隠されている。これは2013年と比べ、中米日の3カ国関係に新たな変化が生じたことを反映した。米国は中国と競争・対抗するため、日本に対する戦略的な需要が増え、靖国問題で日本を批判したがらなくなった。これは共に中国に立ち向かう両国の「戦略的友情」を損ねないためだ。日本の右翼政治家は中米の対立の激化をチャンスとし、中韓などのアジアの隣国を刺激すると同時に、大胆になり米国への挑発を試み始めた。彼らにとって、米国の若者は真珠湾の硝煙をとっくに忘れたかもしれない。米国の元兵士も残りわずかで、怒ったところでどうにもならないというのだろう。


 2016年5月に当時のオバマ大統領が米国の現職大統領として初めて広島を訪問し、同年12月に当時の安倍晋三首相が真珠湾を訪問したことで、日米は「和解」を実現したと考える人もいるかもしれない。確かに日米両国の首脳は当時、和解の姿勢を示し、安倍氏はさらに日米同盟は未来を切り開く「希望の同盟」だと強調した。しかし米日の国内に反対勢力があることから、米日の首脳は互いに謝罪していない。


 安倍氏は今年12月14日にテレビ局が放送したインタビュー番組で、真珠湾事件は米国の日本への原爆投下と根本的に異なると述べた。これは米国の原爆により日本の多くの一般人が命を落としたが、日本軍の真珠湾攻撃は純粋に軍事標的に対する軍事作戦だったからだというのだ。しかし安倍氏は甲午戦争(日清戦争)から太平洋戦争に至るまで、広島が日本の対外拡張の軍事的重鎮であったこと、また日本軍国主義がポツダム宣言を拒否し「一億玉砕」を掲げた罪については言及しなかった。日本の対外戦争及び植民地支配については、当時の国際情勢の日本への影響を強調するだけで、日本の侵略の暴行と罪を認めようとしなかった。安倍氏は靖国参拝時に、太平洋戦争を発動した東条英機など、靖国神社に合祀されているA級戦犯を「英霊」と崇めている。これは百人弱の国会議員が真珠湾事件の記念日に靖国神社を集団参拝した思想の根源かもしれない。問題は、米国がこれを受け入れられるかだ。


 日本国内でこれはもう珍しくもないようだが、ある米国在中の日本系の筆者は「ニューズウィーク」の記事に、「問題は1978年より靖国神社に東京裁判で死刑執行されたA級戦犯が合祀されていることだ」と記している。その後の参拝行為には、「戦犯を被害者としてその名誉を回復する決意は正義の主張」という危険性があるという。政治的に見ると、東京裁判はポツダム宣言受諾、米軍の占領、サンフランシスコ講和条約、国連創設などをすべて一つにまとめ、第二次世界大戦の戦後処理を形成した。これに対する否定は戦後レジームへの裏切りであり、ましてや真珠湾事件から80年のタイミングでの参拝は余りにも軽率で、「日米の仲違いに利用される恐れがある」というのだ。


 これは米国に長期滞在した日本人学者の朝河貫一が1909年に出版した「日本の禍機」を想起させる。本書は日本の対外拡張に忠告を出し、日米の対立の将来を深く懸念し、日本に対して中国を友好的な隣国とするよう呼びかけた。残念ながら彼の忠告は、当時の日本国内の一方的な好戦ムードに埋もれてしまった。その結果は朝河の予想通りで、日本は間もなく中国侵略の泥沼にはまった。日本軍は真珠湾奇襲により米国との戦争を始め、最終的に敗戦・投降に至った。百年以上たった今、日本はまた新たな禍機に陥ったようだ。(筆者・劉江永 清華大学国際関係学科教授)

 

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年12月31日

 

 

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