RCEP発効 中日韓の「経済により政治を促す」という新しい手がかり

RCEP発効 中日韓の「経済により政治を促す」という新しい手がかり。RCEPが中国、日本、韓国という3大経済体を初めて同じ自由貿易枠組み内に収め、時代を画する意義を持つことが注目されている。3カ国の経済規模はユーロ圏をはるかに上回り、北米自由貿易区に匹敵する…

タグ:RCEP 経済体 貿易 地域経済

発信時間:2022-01-04 11:10:02 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 1日に発効した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定は多くの「最大」を創出した。まずは最大の規模で、世界の人口の30%、GDPの29%、貿易額の27%をカバーした。次に最大の包摂性で、15の加盟国の経済発展水準にばらつきがあり、歴史、文化、社会制度が異なっている。それから最大の発展の潜在力で、地域15カ国の経済の年平均成長率は5.2%にのぼり、世界のその他の主要自由貿易区と世界経済の3.3%という平均値を上回っている。(筆者・項昊宇 中国国際問題研究院アジア太平洋研究所客員研究員)

 

 RCEPが中国、日本、韓国という3大経済体を初めて同じ自由貿易枠組み内に収め、時代を画する意義を持つことが注目されている。2020年の時点で中日韓は世界2・3・10位の経済体だ。3カ国の経済規模はユーロ圏をはるかに上回り、北米自由貿易区に匹敵する。すでに名実相伴う世界経済の中心になっている。RCEP内で、中日韓の経済規模が占める割合は82%を超えており、極めて大きな影響力を持っている。

 

 長期的に見ると、中日韓の経済・貿易関係は緊密で、利益が高度に融合している。しかし歴史をめぐる感情や現実的な食い違いにより、中日・韓日の政治関係が変動し、北東アジアの政治安全と経済・貿易に二分割の構造が生じている。これは地域経済一体化の大きな妨げになった。RCEPの発効は北東アジアの多国間自由貿易区の空白を補い、中日韓の協力掘り下げにも新たなチャンスを提供した。ポストコロナ時代を見据え、中日韓はチャンスをつかみ、手を携えRCEP枠組み内の互恵協力を掘り下げるべきだ。


 (一)3カ国は時機を把握し、貿易・投資の円滑性を高めるべきだ。中日韓貿易は昨年、逆境のなか成長した。中日・中韓の二国間貿易額はいずれも過去最大にのぼる見通しで、3カ国経済の相互依存の程度を浮き彫りにした。RCEP発効後、中日韓は制度のボーナスを十分に掘り起こし、関税削減・撤廃及び投資円滑化の措置を活用し、商品と要素の流通を促進し、これを自国の経済回復及び成長の需要により良く貢献させるべきだ。


 (二)3カ国は流れに乗り、中日韓の協力の質を高めるべきだ。中日韓自由貿易区の建設は長年に渡り交渉を続けて来たが、現在も「ゴール前のシュート」が欠けている。3カ国はRCEP発効を契機とし、交渉のペースを上げるべきだ。RCEPをスタートラインとしより高水準な自由貿易区を作り、より高い基準により「小型多国間」自由貿易を手配し、RCEPという「大型多国間」枠組みに向けバラストの効果を発揮するべきだ。


 (三)3カ国は手を携え協力し、東アジアの産業チェーンの強靭性と活力を高めるべきだ。新型コロナウイルスは地域の産業チェーンとサプライチェーンに大きな衝撃をもたらした。RCEPの協力において、中日韓はASEANの中心的な地位を維持し、地域全体の長期繁栄と持続可能な開発に着眼するべきだ。手を携え地域の産業チェーン・サプライチェーンの調整と再編を促し、東アジアの生産ネットワークをデジタル経済時代の需要により合致させるべきだ。中国側はすでに中日韓のASEANにおける第3者投資協力を共に掘り下げ、引き続き中日韓共同投資基金の設立を推進し、中日韓ASEAN投資協力プラットフォームの構築を検討するよう提案している。これには日韓による積極的な協力が必要だ。また3カ国はさらに各自の対外協力イニシアチブの連結を積極的に検討するべきだ。中国の「一帯一路」イニシアチブ、日本の「質の高いインフラパートナーシップ」、韓国の「新南方政策」はRCEP枠組み内で「共に協議し、共に建設し、共有する」を実現できる。

 

 3カ国が考え方を更新し、RCEPに新時代の「経済により政治を促す」という効果を発揮させるべきであることが特に重要だ。東アジアの協力において、日本はかつてリーダーとしての役割を演じ、「雁行型経済発展」モデルにより東アジア経済の飛躍をけん引した。中国経済の台頭に伴い、日本国内の一部の人は中国が加わるRCEPに複雑な気持ちを持っている。いわゆるRCEPの主導権の問題を熱心に喧伝し、中国が「一強」の地位を形成するのを阻止しなければならないと述べ、他国を「中国けん制」に抱き込もうと騒ぎ立てている。この地域の経済協力を政治問題や安全問題にするやり方は、地域経済の回復と成長に資さない。


 世界経済の構造が深く変化する今日、中国の地域経済における地位と影響力は積極的かつ有益だ。大きな消費市場を持つ中国の加入により、RCEPは枠組み内のその他の国により大きな商機をもたらすばかりだ。日本紙「朝日新聞」は記事の中で、RCEP発効により最終的に日本が輸出する工業製品の91.5%の品目の関税が撤廃され、中国に輸出する品目の関税撤廃率が8%から86%に、韓国に輸出する品目の関税撤廃率が19%から92%に上がると指摘した。日本の自動車部品や日本酒などの中高級消費財の対中輸出が拡大し、日本国内の関連産業を活気づける見通しだ。日本政府は、RCEPが日本に15兆円分の経済成長をもたらし、日本のGDPを2.7ポイント押し上げると同時に、57万人分の雇用を創出すると見ている。


 RCEPはまだ最高水準の地域自由貿易協定ではないが、包摂的で多元的というアジア太平洋地域の特徴を示した。脱グローバル化と保護主義の思想が猛威を振るう目下、RCEPが示す小異を残して大同につく、協力とウィンウィンの精神は特に貴重だ。国家間では地域秩序の主導権をめぐる争いという古い考えを捨て、手を携えポストコロナ時代の地域繁栄・発展に貢献するべきだ。これは地域の大国が果たすべき責任であり、「経済により政治を促す」や、3カ国の政治関係の改善及び発展の手がかりでもある。

 

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年1月4日

 

 

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