日本メディアの最近の報道によると、米日両国政府は先端技術の中国への輸出を防ぐため、規範的なハイテク輸出規制の枠組みの構築を検討中だ。各国の経済・技術の関係が日増しに緊密になる今日、米日はまだ輸出規制の強化に取り組んでいるが、これはもはや時代遅れだ。経済グローバル化のペースアップにより、国別の差別的な待遇の機能が弱まり、輸出規制のツール化と政治利用が歴史に逆行する行為となっている。(筆者・李恒陽 中国社会科学院米国研究所副研究員)
米日両国が検討中の輸出規制枠組みは、米国が1949年に設立した「輸出統制調整委員会」(ココム、本部はパリ)の二の舞を演じているようだ。1952年にはココムのアジアにおける下部組織「チンコム」が設立され、米国や日本などの5カ国が参加国になった。90年代のソ連解体と東欧の激変により、ココムの禁輸措置と世界の科学技術及び経済面の競争が食い違うようになった。ココムとチンコムは1994年に解散された。
ココムの存在は世界の技術進歩と資本流動を妨げ、西側諸国のハイテク製品の貿易をめぐる対立を絶えず激化させた。ココムが実質的には米国に支配されていたことから、米国は参加国企業と社会主義国が署名した貿易契約を取り消すことが可能だった。これによりココムは東側・西側の正常な貿易を妨害する米国の「冷戦ツール」になり、しかも米国が西側陣営の競争者を叩くための有力な武器になった。中国との貿易を促進するため、「中国への差別」を緩和するよう最も早く求めたのは英国と日本だ。うち日本はココムの「例外的輸出承認」の範囲拡大を求めた。英国は、米国が中国への禁輸の緩和に同意しなければ、一方的に「中国への差別」を解除すると表明した。英国と日本は1957年に「中国への差別」の廃止を発表し、その他のココム参加国もそれにならった。チンコムはほぼ麻痺状態に陥った。
経済グローバル化は、貿易規制が時代遅れであることを浮き彫りにした。ココムの歴史は、ハイテク輸出規制はある国の科学技術発展のペースをある程度落とすことしかできず、これらの国の科学技術の進歩と技術の高度化を根本的に阻止できないことを証明した。ココムの禁輸期間中に、中国が発展させた宇宙技術と核兵器はその最良の証明だ。ココムの解散前の段階で、米国による指揮のコントロール喪失が顕著になっていた。ココム内部の離反の傾向を乗り越えるため、米国は「ゴールドカード優遇制」などの西側内部の貿易規制を緩和する措置を講じたが、解散の大きな流れを変えられなかった。
バイデン政権発足後、輸出規制は中国の経済発展と技術進歩を妨げる米国の重要な手段になった。日本政府は米日同盟を強化するため、ハイテク関連で米国の政策に迎合している。まず、ハイテク関連の輸出規制の強化は確かに、米日などが自国の科学技術の覇権を守る上で有利だ。米政府はサプライチェーンの断絶と封鎖により、米日のハードもしくは技術が中国のハイテク関連の進歩に用いられるのを全面的に阻止しようとしている。日本の対中輸出規制強化は、中国が日本からハイテク製品及び設備を輸入する妨げになり、また中国と貿易する日本企業の積極性を大きく下げる。
その一方で、米日などの輸出規制の政治利用は、中国企業の合法的な権益を損ねるばかりか、同じく米日企業の利益を損ねる。潜在的な利益の損失はその研究開発の継続性を弱め、技術イノベーションの能力を落とす。長期的に見ると米日などの企業の競争力を大きく下げる。米国が基幹技術の指導力と国家安全を結びつけると、基幹技術が輸出規制においてかつてないほど重視されるようになった。米国は2018年に「輸出管理改革法」を可決したが、米商務省は現在もいわゆる「新興技術」もしくは「基幹技術」の規制リストを発表していない。これは主に米国の産業界からの強い反発によるものだ。
米日などの国は価値観で区別し、輸出規制面で閉鎖的で排他的な小グループを形成しているが、これは真の多国間主義ではない。中国のハイテク企業に対する西側の圧力は中国の技術進歩のペースを落とさないばかりか、むしろ中国の科学技術者の奮起し励む精神を刺激する。西側諸国の輸出規制が中国の技術イノベーションを促し、むしろこれらの国に対して関連政策の緩和もしくは放棄を迫ることは、歴史の経験によって証明されている。中米両国は和すれば共に利し、争えば共倒れになる。米国が時代遅れの冷戦思考を捨てることで、中米双方は初めて協力とウィンウィンの正しい軌道に戻ることができる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年1月11日