円安は現在、日本の与野党及び国民が最も注目している問題の一つだ。ドル円相場は現在、1ドル=130円と20年ぶりの円安を示している。日本の鈴木俊一財相は先ほど、「今や悪い円安になっている」と述べた。
20年ぶりの大幅な円安は多くの日本人に、90年代後半の一時1ドル=147円前後の円安を想起させた。これは当時市場で「日本空売り」と呼ばれた。これまでの円安は日本経済に有利とされていたが、今や日本企業及び家庭から悲鳴が上がっている。これは日本の未来の存続に関わるという声もあるほどだ。
「環球時報」の取材に応じた複数の専門家は、円は真っ先にドル高の影響を受けた通貨と述べた。米国と政治的・経済的なつながりが強いことから、日本は現在「口に出せない」悩みを抱えているという。
苦しむのは誰?
円安で真っ先に苦しむのは日本人だ。「環球時報」在日本記者の調べによると、日本の低所得層の日常生活を支える100円ショップの閉店ラッシュが始まった。情報によると、日本の100円ショップの製品の多くが東南アジア諸国産だ。円安、輸送費の高騰、コロナ禍の工場の操業停止により、多くの100円ショップが営業を維持できず次々と閉店している。
三井住友信託銀行のマーケット・ストラテジストである瀬良礼子氏は、「日本の食糧及びエネルギーの多くが輸入に依存しており、円安は国民生活に悪影響を生む。新型コロナウイルス感染症がなければ、円安により多くの外国人が入国し観光経済を盛り上げた可能性があるが、現状を見る限りまったく期待できない」と分析した。
円安は日本の輸出企業に積極的な影響を生むだろうか。「日本経済新聞」によると、過去の円安では外貨建ての販売価格が下がることで日本の輸出が拡大していた。日本企業は現在すでに生産拠点を海外に移転しており、円安になっても日本国内からの輸出が増えることはない。
福本智之氏は記者に、「円安が日本経済にとって良いか悪いかについては、単純に結論を下せない。輸出が高い割合を占める大手製造企業にとって、円安が有利であることは間違いない。ところが内需型の中小企業と一般人にとっては不利だ。少なくとも最近の円安は急激であり、経済主体の投資及び消費マインドへの影響を無視できないと言える」と述べた。
中国への影響は?
東呉証券は最近の報告書の中で、金融市場は円安からアジア通貨危機の匂いを嗅ぎ取っているとした。今年以降のドル円相場は12%の円安で、このペースは1997年のアジア通貨危機を上回っている。当時のアジア通貨危機の幕開けとなったのは、他国に先駆けた急激な円安だった。1997年のアジア通貨危機以降、アジア地域の経済もしくは市場にショックが生じた際に真っ先に円安が生じ、その他の国が後に続いていた。しかし人民元の「反応」は遅れることが多く(前半は持続的な元高が多かった)、地域経済安定における中国の力を発揮していた。「日本経済新聞」は、人民元は外為市場で堅調で、アジアの安全な通貨としての性質が強まっていると伝えた。
2021年の年初以降の円相場は、人民元に対して20%を超える円安となっている。ドル円相場が1ドル=130円を超えた現在、円安は中国にとって日本製品輸入の圧力を軽減するため、中国の輸入企業にとって有利だ。しかし日本企業にとっては、中国からの輸入品がさらに高額になり、輸入を控える可能性がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年5月5日