5月15日は「沖縄本土復帰50周年」記念日だ。日本政府が式典を開催すると同時に、沖縄の多くの人々が在沖縄米軍基地の規模を縮小し、さらには全面撤退を求め猛抗議した。このシーンは、沖縄の人々が長期的に日米両国の板挟みになってきたジレンマ、沖縄の長期的な人権侵害を想起させる。(文=孫家珅 清華大学歴史学者)
沖縄県が2020年に日本各地の米軍基地と比較し、統計をとった結果によると、日本の国土面積の0.6%のみの沖縄県に日本全体の米軍基地の70.3%が集中していた。米軍は2000平方キロメートル未満の沖縄本島に、嘉手納、那覇、普天間など数多くの基地を置いている。米軍の沖縄駐留は長期的に、燃料漏れなどの環境破壊問題、航空機の訓練による騒音問題、在日米軍ヘリ・軍機の墜落事故などをもたらしている。沖縄の住民の日常生活の大きな妨げになっており、さらに人々の命の安全を脅かしている。
米軍の「治外法権」は沖縄の人権を侵害している。よく知られたケースでは、米軍兵士による性暴力などの悪質な事件が多発している。1972年から2020年にかけて、沖縄米軍基地は計6029件の犯罪事件を起こした。法律によって裁こうとしても、「日米地位協定」に保護される米兵は日本の裁きを受けない。これらの事件は度々、沖縄の人々から怒りを買っている。さらには全県範囲で米軍基地への反対運動が起きている。
同時に日本国内の「琉球民族」への人種差別問題も深刻だ。日本と米国の「核兵器の密約」は、沖縄の人々を核の脅威にさらした。1969年から72年にかけて、本土の米軍基地が大幅に縮小されたが、その部分の在日米軍の多くが沖縄本島に移設された。
長期的な差別により、本土日本人と沖縄の人々の間の感情的な隔たりが顕著になっている。沖縄現地メディアと民間は本土日本人を「大和民族」と呼び、本土日本人の間にも沖縄の人々に対して「土人」という呼称がある。2016年10月に沖縄で起きた米軍基地反対運動において、大阪から派遣された警察が沖縄の人々を「土人」と罵る事件があり、大騒動になった。日本政府はその後、「土人に差別の意味合いがあるかは判断できない」と称した。双方の争いは現在も沈静化していない。
今年は米国が日本に沖縄の統治権を返還してから50周年だが、日本が新たに統治してから半世紀後も沖縄の人々は抗議を続けている。これは人権問題を持ち出し他国を批判する日米の政治家に対して、まず自分を見つめ直し、沖縄の人権を十分に尊重・改善すべきと注意を促している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年5月18日