クアッドによる中国漁船の監視は単なる「前菜」か?

中国網日本語版  |  2022-05-26

クアッドによる中国漁船の監視は単なる「前菜」か?。その実質を見ると、IPMDAはいわゆる「情報共有」を通じ、国際的に新たな「中国中傷」キャンペーンを展開することだ…

タグ:IPMDA 情報共有 漁船 

発信時間:2022-05-26 15:03:53 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=胡波 ・「南海戦略態勢感知計画」主任


 米日印豪「クアッド」首脳会議がこのほど東京で開催された。4カ国首脳によるオフラインの会議は2回目。会議で話し合われた内容によると、中国関連の問題が焦点になったことは間違いない(共同声明で中国の名指しを避けたが)。例えば共同声明で発表された「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」は、「地域のパートナーと協働し、人道及び自然災害に対応し、違法漁業と戦う」という旗印を掲げ、中国のインド洋と太平洋における海洋活動に矛先を向けた。4カ国によるIPMDAはどのような影響をもたらすのだろうか。

 

 英紙「フィナンシャル・タイムズ」などが事前に開示していた内容、4カ国政府の関連情報によると、IPMDAの目標は「商業リモートセンシング衛星のデータに基づく船舶追跡システムにより、中国の漁船による違法漁業を撲滅する」ことだ。表面的には中国の漁船が名指しされ、クアッドが矛先を向ける対象になった。実際には違法・無報告・無規制(IUU)漁業は世界的な難題で、差別なき共同の努力が必要だ。中国の漁船にはこの問題が存在するのだろう。これについては中国政府も隠し立てしておらず、多くの着実かつ効果的な措置を講じている。中国農業農村部は何度も外交部と共同で、公安部、交通運輸部、税関総署、国家市場監督管理総局などの部門と共にIUU漁船を取り締まり、罰金額の引き上げ、船舶没収、関連資格の抹消といった措置により中国の遠洋漁業を規範化・制限している。しかも中国はすでに一部の公海で自主的に休漁している。

 

 しかし実際には、インド洋・太平洋さらには世界で最も多いのは中国の漁船ではない。遠洋漁船の数はさらに少なく、およそ3000隻未満だ。漁獲量も最大ではなく、作業方法も最も過激なわけではない。全体的な流れを見ると、中国の環境保護への重視が強まり、主管部門及び法執行機関の管理意識の向上に伴い、中国のIUU漁業が大幅減の流れを呈している。米日印豪は「色眼鏡」をかけ一貫した偏見を持っているが、より重要なのはいわゆる「中国の脅威」への日増しに病的になる焦りだ。その他の国のIUU漁業にまったく関心を寄せず、中国の漁船だけに嫌がらせをしているようだ。クアッドの安全面での初の実質的な動きが中国の漁船に矛先を向けているとは、どう見ても冗談にしか思えない。

 

 その実質を見ると、IPMDAはいわゆる「情報共有」を通じ、国際的に新たな「中国中傷」キャンペーンを展開することだ。中国の遠洋漁船には主に、公海で作業する大洋性遠洋漁船と協力国管轄海域で作業する海洋横断性遠洋漁船の2タイプがある。圧倒的多数の漁船活動が合理的かつ合法的だ。しかしこの船舶追跡システムは中国のこれらの地域における合理的で合法的な権益を考慮せず、中国の漁船によるいわゆる「異常行為」ばかりを公開する可能性がある。これらのデータを利用し、国際的に「中国の漁船は天下に遍く存在する」という印象を作り、「中国の漁船が漁業資源及び環境を破壊、中国が漁船を使い他国を威嚇」「中国の漁船が他国の管轄海域で違法に活動」といった問題を作り、中国の漁船の正常な活動を中傷し、中国により多くの外交摩擦と国際的な紛糾をもたらす。

 

 アナリストは、漁船の監視は単なる「前菜」に過ぎず、IPMDAが将来的に中国の公船、海警船、軍艦も監視対象にする可能性があると懸念している。技術的に、IPMDAが漁船を追跡できるならば、その他の船舶も追跡できるからだ。4カ国の軍隊がこの民間システムのデータと情報を珍しがるとは限らないが、インド太平洋のその他の国にとってはニュースになるかもしれない。法律と秘密保持の問題により、4カ国の軍隊が把握している中国の公船と軍艦の活動情報を他国と共有するのは非現実的だ。ところがIPMDAに基づき開発される民間システムには、この壁と懸念が存在しない。それゆえ将来的に中国の公船と軍艦に関するニュースと情報がさらに増え、同地域における国の外交文書やメディアに現れる可能性が高い。米国などの国は中国の軍艦による正常な通行活動を、「そら見ろ、中国の軍艦がおたくらの海岸に接近中だ」と解釈するだろう。これらの情報は関連国の意思決定をミスリードすることがあり、さらにこれらの国で悪影響を形成し、地域情勢の謂れなき緊張を激化させる。

 

 現状を見ると、IPMDA及び建設中の船舶追跡システムはまだ、中国の国家安全及び中国の海洋活動に重大な影響を直接及ぼしていない。しかしこのより邪な目的はおそらく、データ情報の外交的操作と世論の喧伝にある。「中国の脅威」をさらに拡大することで、中国の海洋活動の合法性を瓦解させる。完全に目的を達成できなくても、これらのフェイクニュースと一方的な主張は中国の外交と国際世論に妨害を生む。

 

 IPMDAに関する情報が発表されると、ある西側の同業者は「これはインド太平洋に必要な海洋安全公共財を提供した」と述べた。ところが安全公共財であるにも関わらず、なぜ中国だけに矛先を向けるのかという疑問がある。海洋状況把握は中立的であるべきだ。これには各国の政府、シンクタンク、企業の共同の努力が必要で、その価値は対立もしくは衝突の刺激ではなく平和の促進にある。IPMDAという小さなグループを作り陣営の対立を引き起こすやり方は、国際海洋秩序を競争と衝突に向かわせるばかりだ。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年5月26日

 

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