文=李牧野 技術経済観察者
日本メディアはこのほど、台湾企業による「日本買い」が止まらず、日本国内の一部の専門家が警戒を強めていると伝えた。専門家は、台湾企業が日本の電子・半導体業界の関連事業の買収により実力を大幅に強化したモデルと歴史を振り返り、台湾企業が最近になり買収先を日本の自動車産業に拡大し、協力関係の構築を強める動きに懸念を表している。目先の協力などばかりに注目し麻痺すれば、今後「台湾地区に技術を吸収され、自動車産業でも逆転が生じる可能性がある」という。
鴻海集団などの台湾企業が近年、電気自動車市場に大挙して押しかけ、特に協力の重点を自動車強国の日本に置き、合資などの形式により関連技術を取得しようとしている。日本国内が警戒しているのはこれだ。台湾企業による半導体や自動車産業の力強い拡張を受け、日本は複雑な心理になっている。日本は過去数十年に渡り東アジアのリーダーを自称してきた。台湾地区は日本の技術移転を受けるOEMや組立などの役割を演じ、「スマイルカーブ」の付加価値が低い中間の位置に置かれることが多かった(左側は研究開発・設計、重要原材料・設備など、中間は組立など、右側はブランドサービスなど)。
しかし過去20年の日本の発展は緩慢で、1人平均GDPが長期的に伸び悩んでいる。台湾地区経済は電子情報産業の好調な輸出によりスムーズに成長した。1人平均GDPは3万ドルを突破し、昨年の段階で日本の1人平均GDPの86%にのぼった。産業チェーンとバリューチェーンを見ると、台湾地区・日本経済の分業はもはやシンプルな垂直分業モデルではなく、徐々に垂直・水平が共存する複雑な分業協力モデルになっている。双方の競合関係が徐々に複雑化している。
日本の緩慢な発展が有力産業の持続的な低迷にも示されていることに注意すべきだ。2000−20年の世界トップ500社を見ると、日本の有力産業には自動車などしか残されていない。自動車産業は現在、電気自動車に急転換する時期を迎えており、各国のほぼすべてがガソリン車淘汰の日程表を作っている。日本は電気自動車の発展で出遅れた可能性がある。技術力を持つが、機先を制しておらず、現状を見てもモデル転換が緩慢だ。そのため台湾企業による新たな対日M&Aを受け、日本のメディアと専門家は「台湾への警戒が不足」「技術に触れさせてはならない」との異例の主張を掲げている。かつて鴻海がシャープを買収した頃と比べ、より強い反発を示している。台湾企業が電気自動車などへの進出を拡大するにつれ、台湾地区と日本の関連産業の競争が持続的に激化し、さらには正面衝突する可能性もある。
客観的に見ると、今日の台湾社会の内部には依然として強い親日感情、さらには日本に媚びる心理が残されている。この心理は日本による植民地支配の複雑な歴史的要因と、「台湾独立」分裂勢力の意図的な操作があり、さらには経済分業で長期的に「日本が上で台湾地区が下」という関係が存在していたことと強く関係している。しかし台湾地区と日本に紛争が生じると、島内で政権を運営する「台湾独立」政党が堂々と味方を支援できないことを指摘しておく必要がある。これは台湾地区と日本の漁業紛争にも十分に示されている。そのため将来的に台湾地区と日本の間で産業の競争、更には摩擦が生じた場合、「台湾独立」政党が政権運営を続ければ、台湾企業の利益は保障されない。これはバイデン米政権が台積電に商業上の機密データを提供するよう強いたことによって十二分に示されている。
日本からも警鐘が鳴らされた後、台湾企業は目を覚ますべきだ。台湾企業のモデル転換・高度化の最良の選択肢はやはり、大陸部だ。大陸部には巨大な内需市場という他にはない強みがある。また両岸は地理的に近く、文化的に親しみを持っている。両岸の産業は相互補完性が強い。技術力とOEMの経験を持つ台湾企業は順調に大陸の産業チェーンに進出し、自社のさらなる発展を実現できる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年6月14日