包括的刺激策により、中国経済は徐々に最近の新型コロナウイルス感染症の影響から回復している。中国経済は第2四半期にプラス成長を実現する見通しで、下半期に大幅に回復する可能性がある。より安定的で力強い経済回復を実現するため、国内大循環の強化の他にも国際・国内双循環を促し、国際的な経済協力を強化することで初めてより理想的な効果を手にすることができる。日本は中国の隣国であり、中日経済・貿易協力の強化は下半期の中国経済の安定しつつ前進に対して重要な現実的意義を持つ。中国経済の回復もまた、中日経済・貿易協力に新たなチャンスをもたらす。
中国は2007年以降、日本にとって最大の貿易パートナーになっている。日本は中国にとって国別で2位の貿易パートナーであると同時に、中国の外資の主な出処でもある。しかも中日は地域経済協力の促進においてリーダーシップとけん引力を発揮し、徐々に国際社会が共に責任を担い利益を共有する新しい構造を形成している。世界の政治・経済情勢の変化とグローバル化の進展に伴い、中日経済・貿易協力の分野がさらに広がり、多元化・多様化・マルチチャンネル・高品質発展の特徴を示している。
複雑で変化の激しい中日の政治関係が、経済協力に悪影響を生むことも否定できない。特に近年、中米の対立が日増しに激化するなか、中日経済・貿易関係が数多くの試練に直面している。ただし新技術革命、デジタル経済の持続的な発展、CO2排出ピークアウト及びカーボンニュートラルの目標の発表、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)の発効に伴い、中日経済・貿易関係も新たな発展のチャンスを迎えた。
RCEPの発効後、中日両国間の関税撤廃率が大幅に上がる。中国が日本から輸入する商品の関税撤廃率は現在の8.4%から86.0%に上がり、より大きな貿易市場が切り開かれる。サービス貿易を見ると、中国は日本が重視する証券金融サービス業、高齢者サービス業、不動産サービス業の譲許水準を上げた。日本は中国が重視する不動産、金融、運輸などのサービスのより高水準の開放・譲許を示した。原産地累積規定は原産地のハードルを大幅に下げ、中日貿易を含む二国間・多国間貿易をさらに円滑にする。RCEPによると、中日双方は投資面でいずれもネガティブリスト方式を採用する。製造業、農業、林業、漁業、鉱業の5つの非サービス業分野の投資をさらに開放し、各方面の政策の透明性を上げる。さらに知的財産権、EC、競争、政府調達、中小企業などの分野の規則を取り入れ、双方向の投資をより円滑にする。第3者市場への投資もより多くのチャンスを迎える。
また先ほど発表された「全国統一大市場の建設加速に関する中共中央及び国務院の意見」は、全国統一の市場制度規則の構築を急ぎ、地方保護と市場分割を打破し、経済循環を妨げる重要な詰まりを解消し、商品要素資源のより広範囲の円滑な流動を促進し、高効率で規範的な、公平な競争が展開される、十分に開放的な全国統一大市場の建設を急ぐことを明らかにした。同意見の発表は、日本企業の関心事に正確に反応し、中日両国の産業チェーン・サプライチェーン・イノベーションチェーンにおける協力と、その他の分野の協力に向け制度の基礎を固めた。
中国が2020年に、30年までにCO2排出ピークアウトを迎え、60年にカーボンニュートラルを実現するという目標を発表した後、中日両国はその関連分野の協力を絶えず掘り下げている。特に両国企業は水素エネルギー技術の研究開発で非常に積極的に協力している。国家発展改革委員会は20年6月に、成都市、天津市、大連市、上海市、蘇州市、青島市の6カ所の中日地方協力モデルエリアを承認し、同年10月末にはさらに北京「中日イノベーション協力モデルエリア」を承認した。7カ所の中日産業パーク及びモデルエリアが十分に力を蓄え、日本側と積極的に協力を展開し、コロナ後の経済協力に向け各種準備を整えている。中日両国は金融、投資、イノベーション、サービス貿易の協力の新たな発展チャンスを迎える。(筆者・張季風全国日本経済学会常務副会長、中国社会科学院日本研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年7月13日