ストルテンベルグNATO事務総長は29日、韓国と日本の訪問を開始する。表面的には、この訪問は日韓首脳が昨年NATO首脳会合に出席したことへの返礼に見える。ところがウクライナ危機が続き、アジア太平洋情勢が不安定な中、今回の訪問には尋常ならざる政治的意義が込められている。これは「NATOのアジア太平洋への転向」や「アジア太平洋のNATO化」の加速を促す可能性がある。
NATOと日韓は近年、頻繁に交流し、歩み寄りを急いでいる。そこからは双方の政治的な思惑、戦略的な野心が透けて見える。NATOにとって、ストルテンベルグ氏の今回の訪問は「世界のNATO」という戦略転換の最新のステップだ。北大西洋を立脚点とする軍事安全集団のNATOは冷戦終結により瓦解せず、米国及び欧州の覇権のロジックに従い絶えず共通の「敵」をでっち上げることで延命している。昨年6月に発表された文書「NATO戦略概念2022」の中で、NATOはロシアを「最大かつ直接的な脅威」として名指しし、かつ初めて中国をNATOの「システマティックな挑戦」として名指しし、さらに「インド太平洋地域」の情勢は欧州・大西洋の安全に直接影響を及ぼすとした。NATOは地域のパートナーとの対話・協力を強化し、地域を跨ぐ挑戦に対応し安全の利益を共有するとした。このロジックはNATOによる近年の「世界へのモデル転換」という戦略的目標と同じ流れを汲んでおり、その世界戦略の重点がアジア太平洋に移りつつあることをさらに明確にしただけだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年1月29日