▽男、女20キロ競歩 女子円盤投げで金メダルの期待
劉選手が孤軍奮闘しているわけではない。中国は男子110メートル障害のほかに、男子20キロ競歩、女子20キロ競歩、女子円盤投げ、男子50キロ競歩、女子砲丸投げ、女子ハンマー投げ、女子マラソンの計8種目に、メダル獲得の期待がかかっている。特に、男子20キロ競歩、女子20キロ競歩、女子円盤投げの3種目では、中国人選手が金メダルを獲得する可能性があると予測されている。
最近の陸上世界選手権2試合の競歩で、中国人選手は銀メダル2枚、銅メダル1枚を獲得しているが、惜しくも金メダルは逃している。今年の成績では、男子の王鎮選手と女子の劉虹選手がいずれも20キロ競歩で2位に入っている。しかし同種目の最大のライバルはロシアの選手で、男女共に金メダルの最有力候補と言われている。ロシアは実力のある選手を数多く抱えているため、さまざまな戦術をしかけることが可能で、メンバーの少ない中国は苦戦が予想される。また競歩は天気やコースの状態などさまざまな要素の影響を受けやすく、これまでの成績だけで、選手のレベルやコンディションを判断するのは難しい。そのため、中国人選手がロンドンのコースや天気に適応できるかが、成績を左右する重要な要素となる。
一方、韓国テグ世界陸上選手権の女子円盤投げで金メダルを獲得した李艶鳳選手は今年33歳になり、体力的な衰えがロンドン五輪での最大の懸念材料となりそうだ。同種目では今季、ドイツのナディネ・ミュラー選手が公式試合で66メートル以上の好成績を5回出しており、うち今季ベストの68メートル89はここ7年で最高記録。
ベテランが強い投てき競技で異色の存在となっているクロアチアのサンドラ・ ペルコビッチ選手(20)は、禁止薬物の使用(ドーピング)が見つかり、半年間の試合出場停止処分を受けたが、復帰後はその実力を存分に発揮し、5月に上海で行われた試合では68メートル24と、今季世界2位の記録を出している。ペルコビッチ選手は同種目の金メダルの大本命。そのほか、ロシアのダリャ・ピスチャルニコワ選手やキューバのヤレリス・バリオス選手なども今季、68メートル以上の好成績を残している。一方、中国の李選手はこれまで68メートルの壁を破ったことがなく、今年の自己ベストは67メートル84で世界5位。女子円盤投げは以上の5人の中から、金メダリストが誕生すると見てほぼ間違いないだろう。実力だけを見れば、李選手は不利な状況だが、各選手が本番でどれほど実力を発揮できるかが、キーポイントとなる。