▽男子100メートル ボルト選手、王座保持なるか
4年前、男子100メートルではジャマイカのボルト選手がぶっちぎりの存在だったが、今年に入り、ボルト選手が新記録を出したというニュースは耳にせず、反対に交通事故に巻き込まれるなど不安となるニュースを耳に。練習や試合に集中できなければ、競争の激しい100メートル走では、それが命取りになりかねない。
ボルト選手の座を虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのは同じくジャマイカのヨハン・ブレイク選手(23)。先日行われたロンドンオリンピック選考試合で、ブレイク選手はボルト選手を上回る9秒75をたたき出し堂々の優勝。9秒86だったボルト選手にとっては悔しい結果となった。9秒88だった前世界記録保持者・アサファ・パウエル選手とも僅差だった。
禁止薬物使用(ドーピング)による4年間の出場停止処分から復帰した米国のジャスティン・ガトリン選手もロンドン五輪選考試合で、9秒80をたたき出した。同タイムは、ガトリン選手がアテネ五輪で金メダルを獲得した時よりも、0.05秒早い。また同じく米国のタイソン・ゲイ選手も同試合でボルト選手と同じ9秒86を出し、ジャマイカの選手と実力の点では全く引けを取らないことを証明した。以上の本命5人がロンドン五輪男子100メートルを盛り上げ、今回ボルト選手は悠々と手を上げながらトップでゴールテープを切るというわけにはいかなさそうだ。
陸上競技でもう一つの見どころは、女子棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ選手。2013年の世界陸上競技選手権出場後、引退することを表明しているイシンバエワ選手にとってロンドン五輪は「集大成」となる。韓国テグ世界陸上選手権でメダル獲得を逃したイシンバエワ選手は屋外で実施される試合から姿を消したが、スウェーデンのストックホルムで今年2月に行われた室内大会・XLガランでは5メートル01の室内世界新記録をマークして優勝した。イシンバエワ選手はこれまで、世界記録をなんと28回も塗り替えるという超人的な記録の持ち主。
しかし、北京五輪で金メダルを獲得した後の世界陸上競技選手権では2大会連続で成績不振に終わっていたイシンバエワ選手にとって、ロンドン五輪は「リベンジの場」となる。現在、ブラジルのファビアナ・ムレル選手やアメリカのジェニファー・スタチンスキ選手らも4メートル85以上飛ぶことのできる実力を備えており、イシンバエワ選手にとっては「脅威」となりそうだ。しかし、イシンバエワ選手の最大の敵は自分自身。5メートルの高さに備えられた棒を前に集中して実力が発揮できるかは、「己」との戦いとなる。
「人民網日本語版」2012年7月7日