文=上海国際問題研究院朝韓問題専門家 于迎麗
延坪島への砲撃事件は、韓国哨戒船「天安号」沈没事件が発生してから徐々に安定してきた朝鮮半島の情勢を再びかき乱した。そして各勢力は駆け引きを行い、自らの主張を堅持。それぞれの思惑の裏で、北東アジア地域の安全保障上の苦しい立場が明らかになった。
北東アジア地域における影響力を強化する米国
朝鮮と韓国が交戦した海域は、以前から落ち着きのない場所だった。韓国が支配している海上国境線は「北側境界線」と呼ばれ、朝鮮側はこの境界線を認めず、真っ向から対立する「南北警戒線」としている。停戦協議の調印後、この領有権紛争が存在する海域では、何度にもわたって交戦が勃発し、負傷者も発生してきた。
今回の砲撃事件は、韓国がこの海域で護国軍事演習を実施したことが発端で、朝鮮は延坪島を砲撃して韓国もそれに反撃した。事の経過からすると偶発事件のようにも見えるが、もし双方の戦略的政策が調整されなければ、同じような事件は間違いなく今回が最後ではない。
砲撃事件後の各国の反応は研究に値す。米国の態度は24日に「ワシントンポスト」が掲載した社説タイトル「朝鮮を抑制する米国外交は、ヒョンヤンではなく北京に狙いをつけている」に表れており、砲撃事件発生後、長らく棚上げされてきた黄海における空母の軍事演習の計画は、再び提出されてすぐに可決された。今回の事件を理由に、米国は空母による中国の敏感海域への進入を成功させただけでなく、米韓軍事同盟に頼らなければならない韓国を利用して、北東アジア地域における影響力を強化している。
韓国は最大の「敗者」