「新華網」によると米誌「アトランティック・マンスリー」電子版は2月28日、「中国のGDP新戦略:人々を幸福に」との見出しの記事を掲載した。内容は以下の通り。(文:ダミアン・マー、米シンクタンク「ユーラシアグループ」アナリスト)
中国の全人代が今週開幕する。米国の新議会のスタートのようなものだ。人々の話題はGDP成長率から幸福へと移っている。実際に温家宝総理も第12次五カ年計画でのGDP成長目標を7%に設定する計画を明らかにしている。前の五カ年計画よりも低い設定だ。
インパクトの強いGDP成長は人々に幸せをもたらさないとでもいうのだろうか?ここ数週間近く政府や非政府メディアが総合的な幸福や国民全体の幸福に焦点を合わせていることから判断すると、政府のメッセージも含め、どうやらそのようだ。
まず新華社が、政府が人々の生活とその質を急速な経済成長よりも重視しなければならない理由について、長文の論説を掲載した。「経済観察報」もさまざまな都市や階層の「幸福度」について調査を行い、深セン市の中産階級が最も幸福だと報じた。注目されるのは、深セン市のある広東省が「幸福な広東」というスローガンをすでに打ち出していることだ。
清華大学の胡鞍鋼氏のような真面目な経済学者でさえ、小さな王国ブータンが最初に提出した「国民総幸福量(GNH)」を強く推している。GNHは「人間開発指数」と一部コンセプトが重なる。その観点は「経済成長そのものと発展は異なる。後者は持続可能性、環境保護、社会福祉、社会平等といった基準の包括的なセットだからだ」という非常にシンプルなものだ。中国に長年存在する不協和状況について、ある人は「国富民貧」の4文字に凝縮する。では新スローガンは何か。少なくとも新華社によれば「国強民富」または「国民共富」が考えられる。
■地方政府は「GDP至上」思考を止めねばならない