文=空軍指揮学院 王修柏氏
資料写真:中国国産大型機C919が珠海航空ショーに出展され、初めてお目見えになった(2010年11月15日)
大型機とは、最大離陸重量が100トン以上の輸送用航空機で、軍用大型輸送機や民用大型輸送機、座席150席以上の幹線航空機のことを指す。現在、世界的な大型機の開発は米国、ロシア、ウクライナ、欧州連盟(EU)などごく少数の国や国際組織に限られている。
▽国家安全保障の見地から大型機開発に目覚める
大型機は知識集約型産業で、関連産業の発展と技術の進歩を促すと同時に、中国の航空産業の総合力と国際競争力を高めることができる。大型航空機産業は重要な国の経済収入源でもある。中国では航空輸送量のうち、大型機が占める割合は約70―80%になる。
大型機の開発は国家安全保障の見地から目覚めたといえる。中国の安全保障情勢は楽観視できない。東中国海では日本と海洋権益をめぐり争いが絶えず、南中国海でも一部の国と海洋権益をめぐる争いが存在する。経済の発展にともない、世界第二の石油輸入国となった中国だが、海上生命線において主導権をもたない状況から脱却できずにいる。こうしたことから強大な国防体制の確立、特に国家安全保障の発展にふさわしい戦略的機動能力の構築が中国に求められている。
▽大型機の軍事的価値が突出