◆2つの難題
だが、民主党を悩ませる問題も浮上している。まず菅首相の辞任の時期である。鳩山前首相は昨夜、日本テレビの取材に対し、「復興基本法の成立、第2次補正予算早期編成の目途をつける、の2つの条件で菅首相は退陣すると合意したため、時期的には6月末、遅くとも7月上旬には菅首相の辞任が実現するはずだ」と述べている。
だが、鳩山前首相のこの表明は、菅政権の女房役ともいえる枝野幸男官房長官により否定されている。昨夜の記者会見において枝野官房長官は「菅首相は震災対応と原発事故で一定の役割が果たせたら、という条件で辞任する意向を示しているだけだ」とし、「その後、政務を若手議員に任せる、と言ってはいるが、辞任の時期については触れていない」と述べている。枝野官房長官のこの解釈は、反対票を投じたばかりの議員らの怒りを買った。自分らが菅首相に騙されたような感じが否めないというのである。そのため、今後、民主党内の内紛は避けられないだろう。
次に、菅首相が辞任した後、政権を誰に委ねるかである。1週間前に実施された世論調査によると、枝野幸男官房長官が首相候補の最高位に挙がっている。物腰が柔らかく、大きな福耳がトレードマークのこの議員は今年47歳になる。震災後、毎日のようにテレビに登場するため、国民の知名度は上がっている。だが、日本の首相は国民の投票選挙で決まるものではなく、執政する党の各勢力のバランスを考えて選ばれるため、枝野官房長官の経歴や能力では、次の首相の座は奪えないとされている。
では一体、誰が次期首相の椅子に座るのか?小沢元代表の弟子とされる前総務大臣の原口博一氏か、または前外務大臣の前原誠司氏か、はたまた小沢一郎氏自身か。こうした候補の予測はまったく根拠がなく、しかも大衆が推薦する人物が一人としていない。そのため、この後しばらくは、民主党内の各派閥のグループ間でくっついたり離れたりの内紛が繰り返され、だんだん白熱化されるはずである。
日本の政界における今回の「茶番劇」に対し、震災地の避難所で暮らす被災者らは怒りをあらわにしている。「地震で何もかもが破壊され、原発事故も解決しておらず、再建の計画も立っておらず、10万人が今も避難所生活を強いられているというのに、永田町では議員らが勢力争いに躍起になっている。こんな国に希望はあるのか?」と。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年6月3日