中華人民共和国国務院新聞弁公室は9月6日、『2011中国の平和発展』白書を発表した。白書は、平和的な発展は中国が近代化と「富民強国(国民を豊かにし国力を強める)」を実現し、世界の文明的な発展に大きく貢献する戦略的選択であると強調。また、中国は確固として平和的発展の道を歩み、いかなる国とも軍備を争う気はなく、いかなる国に対しても軍事的脅威を与えないとした。
全文は次の通り。
東方に位置する中国は13億もの人口を擁する文明大国で、現在は現代化の道を大きな足取りで進んでいる。世界が中国に注目しているのは、まさに、中国がどのような発展の道を選ぶのか、そして中国の発展が世界にとってどのような意味を持つのかということである。
中国は何度も世界にむけて発信している。中国は終始変わらず平和的発展の道を歩んでおり、自国の平和的発展を確実に実践すると同時に、世界の平和を保つことに力を注ぎ、各国とともに発展し繁栄することを積極的に促進している。21世紀に入り、第2の10年と中国共産党成立90周年を迎えるにあたり、中国はまた世界に向けておごそかに宣言する。平和的発展は、中国が現代化と富民強国を実現し、世界文明の進歩に大きく貢献をするために選んだ道である。中国は意志を曲げることなくこの平和的発展の道を進んでいく。
一、中国の平和的発展の道の開拓
5000余年もの文明の発展過程で、中国の各民族人民は自らの勤勉さと英知をもって、輝かしい中華文明を築き上げ、多民族国家の統一を成しとげた。中華文明は独特な継続性と包容性、開放性をもっている。長期にわたって対外交流の中で、中華民族は学び、努力し、他の民族の長所を取り入れ、向上心を持ち続け、人類文明の進歩に大きく貢献してきた。
19世紀中頃、西側の列強は砲弾をもって中国の鎖国の扉をこじ開け、内憂外患が中国を徐々に半殖民地、半封建社会へと追い込み、国家は困窮し弱まり、戦乱で乱れ、人民が安心して生活することができないようになった。民族存亡の危急の瀬戸際で、無数の正義の志士がしかばねを乗り越えて進み、変革と国を亡国から救う道を捜し求めた。1911年の辛亥革命は、中国の数千年に及ぶ君主制制度の統治に終止符を打ち、中国人民が民族の独立と国家の富強の闘争を勝ち取ることを促した。しかし、このような模索と闘争は、中国の半殖民地、半封建社会の性格と中国人民の悲惨な運命を変えることはまだできなかった。中国共産党は民族の期待を一身に背負い、中国人民を率い苦難に満ちた闘争を経て、1949年に中華人民共和国を打ち立て、民族の独立と人民の解放を実現し、中国の歴史に新紀元を画すことになった。
新中国成立60余年、とくに改革開放後の30余年において、中国は国情と時代の要請にあわせて社会主義現代化の道をずっと模索しつづけてきた。紆余曲折はあったが、中国人民はあくことなく模索し、時代とともに進み、絶え間なく自国及びその他の国の発展の経験と教訓から学び、たえず人類社会の発展の法則に対する認識を深め、社会主義制度の整備と発展を推し進めてきた。たゆまない努力を経て、中国は自国の国情に合った発展の道を探し当てた。それが中国の特色ある社会主義の道である。
さらに広い世界史的視野に立つ平和的発展の道とは、次の通りに要約できる。世界の平和を守ることで自国を発展させ、また自国を発展させることで世界の平和を守ること、そして、国が自らの力と改革革新によって発展するよう強めることと同時に、対外開放政策を堅持し、多くの国の長所を学び、グローバル経済の発展の潮流に順応し、各国との互恵・ウィンウィンの関係を共同で発展させ推進していくこと、また、国際社会とともに努力し、恒久平和と、ともに繁栄していく調和のとれた世界の建設を進めていくことである。この道の最も明らかな特徴は、科学的発展、自主的発展、開放的発展、平和的発展、協力的発展、そして共同の発展である。