文=軍事的専門家 陳虎
9月19日、ジャパンタイムズのネット版に掲載されたコラムは、驚くような視点を提起していた。すなわち、南中国海問題はすでにアジアの最重点戦略ポイントになっているという話題だ。コラムでは今後数年で、南中国海は中国の軍事対立の前線になるという予測までしている。この論点の根拠は主に3つ。中国の空海軍事力はすでに太平洋の現状勢力に挑戦できるレベルに発展する。次に、中国は南中国海という資源豊富な海域を支配しようとしている。そして、中国は南中国海というアジア経済的命脈にかかわる海上輸送ルートを支配しようとしているというものだ。
これらの観点は外国メディアの注目と過度な報道を呼んでいる。南中国海は果たして中国の軍事対立の前線になり得るのか?
◇誰が南中国海を軍事前線にと騒ぎ立てているのか
報道によれば、南中国海問題を軍事前線にと騒ぎ立てようとしているのは関係国の中にあるとだいたいの察しが着く。米国、日本、オーストラリア、韓国、インドなどの影がちらつく。おもしろいのは、これらの国には一つも南中国海周辺国が含まれていないことだ。それにしても、彼らはどうしてこんなに面白おかしく「南中国海を軍事前線」にするという話題を騒ぐのだろう。
実際、我々の詳細な分析で中核に米国がいることは掴んでいる。
米国は対中関係で一貫して中国に圧力を与えられる何か、制約を与えるための足がかりを探そうとしてきた。長い間、台湾問題がこの足がかりになっていた。両岸関係(中国大陸部と台湾との関係)が改善されるにつれ、この軍事的な敵対関係は完全に払拭されている。米国はまた新しい足がかりを見つけようとしている。そしてタイミングよく南中国海問題が浮上したというわけだ。
米国にこのような動機があるので、いわゆる盟友たちは積極的に南中国海軍事前線問題に介入できるというわけだ。原因を突き詰めれば、米国からの圧力もあり、また、これらの国も南中国海に対抗勢力のメカニズムを構築し、騒ぎ立てて自身の利益を掠め取ろうとしているということだろう。
◇南中国海は軍事的前線にはなり得ない