二、対外援助資金
中国の対外援助資金は、主に無償援助、無利子貸付、特恵貸付という3つのタイプに分けられている。そのうち、無償援助と無利子貸付資金は国の財政から支出され、特恵貸付は中国政府が中国輸出入銀行を指定して対外的に提供するものである。2009年末までに、中国の対外援助金額は合わせて2562億9000万元に達し、中でも無償援助が1062億元、無利子貸付が765億4000万元、特恵貸付が735億5000万元となっている。
対外援助支出は国の財政支出の一部である。財政部は予算・決算制度によって対外援助の予算資金を統一的に管理している。商務部と国務院のその他の対外援助管理関係部門は、職責に基づいて各自の部門の対外援助資金を具体的に管理している。各部門は対外援助の任務に基づき、力相応に対外援助プロジェクトの年度支出予算を編成している。支出予算は、財政部の審査を経てまた国務院と全国人民代表大会の許可を得た後実施されている。各部門は対外援助プロジェクト資金に対して予算管理を行っている。財政部と会計検査署は国の関連法律や法規、財務規則制度に基づいて、主管部門の対外援助支出予算の実行状況を監督し検査している。
無償援助
無償援助は主に被援助国の病院や学校、低コスト住宅の建設、井戸掘削による水道プロジェクトなど中小型社会福祉プロジェクトに用いられている。そのほか、人的資源開発における協力、技術協力、物資援助、緊急人道援助などの分野にも用いられている。
無利子貸付
無利子貸付は主に被援助国の社会公共施設の整備と国民生活関連のプロジェクトに使われている。その期限は一般に20年とされ、中でも使用期間が5年、猶予期間が5年、償還期間が10年となっている。現在、無利子貸付は主として経済的に余裕のある発展途上国に向けて行われている。
特恵貸付
特恵貸付は主に被援助国の経済的利益や社会的利益のある生産プロジェクトの建設、大中型インフラ整備、もしくはプラント設備、機械電子製品、技術サービス、その他の物資の提供に用いられている。特恵貸付の元金は中国輸出入銀行が市場を通して調達し、貸付の金利は中国人民銀行の公布した基準金利より低いものであり、そこから生じる利子の差額は国の財政によって補填されている。現在、中国による特恵貸付の年利子率は一般は2%~3%、期限は普通15年~20年(5~7年の猶予期間が含まれる)とされる。2009年末現在、中国は計76の国に特恵貸付を提供し、プロジェクト325項目を支援し、そのうち142項目は建設済みである。中国による特恵貸付の61%は発展途上国の交通や通信、電力などのインフラ整備に用いられ、8.9%は石油や鉱産物などのエネルギーや資源の開発の支援に用いられている。
図1 中国の特恵貸付の業種別分布(2009年末現在)