「海峡危機」は中国をも大きく脅かす
馬小軍教授は、イランがホルムズ海峡の封鎖を果たせなくても、戦争が本当に起きれば、国際石油市場へのショックはやはり巨大なものとなると見ている。実は昨年10月、イランの情勢が緊迫化してから、国際原油価格は再び上昇し、1バレルあたり100ドルまで跳ね上がった。その後、11月に西側諸国がイランに対する新たな制裁措置を決めたことで、1バレルあたり75.67ドルから上昇の一途をたどっている。
中国石油大学の徐斌教授は記者の取材に対し、次のように述べた。関連機構が発表したデータによると、ホルムズ海峡が封鎖された場合、原油価格が1バレルあたり200ドル以上に跳ね上がる可能性は十分にある。現在、ヨーロッパは債務危機に悩まされ、米国は経済の下降周期にあり、中国の2012年の経済情勢も予断を許さない状況だ。中東の原油輸送ルートが断ち切られたら、世界経済はさらに悪化するおそれがある。
中国国際放送局の雷思海評論員は、イランがホルムズ海峡を封鎖するかどうかは別として、この地域が「混乱しながらも開戦しない」状態を保っていけば、市場の観測により原油価格は押し上げられると分析する。原油価格がいったん急騰すれば、石油の7割ないし8割以上を輸入に頼る中国の経済はその影響をすぐに受ける。現在の原油価格は1バレルあたり90ドルだが、150ドルまで上昇すれば、中国の工業コストは倍増する。
また、中国はインフレ率を4%以下に抑えようと努めている最中で、原油価格が高騰すれば、輸入型インフレのプレッシャーは増大し、経済政策や通貨政策の策定も難しくなると雷研究員は見ている。
戦略的原油備蓄の必要性が高まる中国