東京で21日開かれた日本・メコン地域諸国首脳会議で、野田義彦首相はカンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムのメコン地域5カ国を対象として、75億ドルの政府開発援助(ODA)を拠出、ミャンマーの債務37億ドルを免除すると表明した。
今回の首脳会議で海上安全保障を促進と「南中国海行動規範」締結に向け意見を取りまとめる方針だ。共同通信社は、ベトナムのグエン・タン・ズン首相は、日本を含めてさまざまな国が協力すべきだ」と述べ、日本など域外国の積極的な関与を求めたと報じた。日本の専門家は、ベトナムは日本を仲間に入れることで自らの立場を強めようとしていると指摘。英BBCは22日、「それを日本も望んでいる」と報じた。
東京大学の教授は、中国と韓国はいずれも日本と「歴史的なもつれ」があるが、同じ日本から侵略された歴史を持つベトナムにはしこりがないと指摘。ベトナムはこれまで新幹線や原発など日本が世界に打って出たい製品に目をつけ、日本の機嫌をとってきた。今回ベトナムは南中国海問題への日本や米国などの介入を求め、自らの立場を強化する一方、日本などの介入を手助けしている。
日本は領有権をめぐる中国との領有権争いで同じ問題を抱えるメコン地域諸国の感情を利用し、互いの関係を引き寄せているとBBCは報道。前年バリ島で行われた 東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(中日韓)会合で、野田首相はアジアの海上安全保障と多国間で協力する海洋フォーラムの設置を呼びかけた。ベトナムのズン首相は今回、南中国海の領有権をめぐる紛争への米日の介入を求めたが、それは当然日本の意図に合わせたものだ。
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