(9)転ばぬ先の杖 構造調整が成果
政府は金融危機のさなかに経済の安定的な推移を保証するため、「成長を維持し、難関を渡り、構造を調整する」との経済発展方針を特に打ち出した。構造調整には少なくとも次の3つの含意がある。第一に、構造調整全体にとって、外需への過度の依存から内需の重視への転換が必要だ。第二に、内需の構造にとって、投資と消費とのアンバランスな関係を是正することが必要だ。第三に、投資の構造にとって、高エネルギー消費・高汚染・資源消費型産業「両高一資」プロジェクトの台頭を根絶し、技術水準が高く、コア競争力が強い、省エネ・環境保護型の産業を重点的に育成することが必要だ。中国政府の転ばぬ先の杖としての経済構造調整、経済発展モデルの転換こそが、中国経済が独自路線を歩むことを可能にしてくれる。
寸評:このたびの金融危機に直面して、中国政府が予防策として採用したマクロ調整措置は賞賛に値するものだった。そのうち構造調整は実は目新しい話題ではなかったが、それでも奇跡的な成果をもたらした。経済情勢の変化に伴い、中国政府も最も簡単な貸付金の調整から、為替レート改革などを含んだ多様な方式へと転換し、調整をより芸術的で策略的なものとした。現在、国内・海外の経済情勢は最も複雑といえるが、効果的な措置のはたらきを受けて、今後の成果が期待される。