人口と資源環境の協調
夏に入ってから、北京東郊外の通州区に住む王さんは夕食の支度をするときに困らないようにと、午前中に桶に水をためておくようになった。8月初め、通州区のいくつかの居住区は水不足に陥り、毎晩6時から10時までの間、水道の出が悪くなり、水の使用に支障をきたすようになったからだ。不動産管理会社によると、水が最もよく使われる時間帯は給水量がひどく不足するため、水圧が減少するのだという。北京市の水道水を供給する会社によれば、通州区に給水する水量はすでに極限に達している。
水が不足しているのは通州区だけではない。旱魃が11年続いている北京は水不足が深刻な都市である。降水量が少ないだけでなく、人口の速すぎる増加もその原因のひとつだ。北京の1人当たり水資源量は全国平均の10分の1に過ぎない。
北京市政治協商委員会の「人口と資源環境の協調発展」に関する調査研究報告によると、資源輸入型の特大都市である北京は、エネルギーの98%をよその地に頼っている。人口の膨張は水、電気、石炭、ガス、油などの資源の供給逼迫をもたらし、公共サービスや社会管理にも大きな圧力をかけている。
調査によると、北京市の人口が1人増えるごとに、1日の外出量は2.64回増える。六環路内の1日当たりの外出人数は延べ3500万人で、交通の負担は日に日に拡大している。
また、北京で義務教育を受ける外地からやってきた労働者の子どもの数は、2000年には9万人余りであったが、09年には41.8万人に増え、全体の40%を占める。そのうち、公立の学校で学んでいるのは66.9%だ。
都市部と農村部の境界付近の流動人口集中地域では、公共サービスの供給が需要を満たせず、環境衛生や居住条件が悪く、公共施設が立ち遅れ、火事や潜在的な危険が多く、治安問題も深刻である。
人口抑制へ
中国共産党北京市委員会の劉淇書記は7月末、人口の急増と水資源や土地資源の不足という矛盾は北京の発展を制約する最も大きな要素だと述べた。人口の速すぎる増加をいかに抑制するかが、北京が直面している重大な課題である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年8月17日