金融危機からいち早く回復した経済大国として中国がこのように順調に資産を築いているのには、三つの基本的要素があると蔡輝氏は見ている。力強い経済成長と私有企業の台頭、資本市場の発展である。
「今年の第2四半期に中国が経済規模で日本を抜いて世界第二の経済大国となったことに加え、政府による一連の経済刺激投資と消費刺激策により、以前にも増して多くの富豪が強力な経済成長を背景に表舞台に出るようになった」
このほか、報告書によれば、中国の中産階級(保有資産額10万ドルから100万ドルの者を含む)の個人財産が過去5年のあいだ年平均12%以上の増加率で増加している。中産階級の著しい台頭は銀行にとって絶好の好機となり、2007年以降中国のプライベートバンキングサービスが目覚ましい発展ぶりを見せている。
BCGの研究はまた、中国の富裕層分布地域が拡大しつつあることも示している。「2009年時点で超百万ドル家庭の持つ資産は半分以上が、広東・上海・浙江・北京・江蘇・山東の六つの地区に集中している」。しかし中国の「十二・五計画(第12次五カ年計画、2011~2015年)」では、中西部に多くの資本が投下されることになっており、これが沿海地区から内陸地区へと富裕層が拡大する下地となるだろう。