短期的にみると、日本経済の減速は世界経済が直面している各種の圧力を弱める可能性がある。例えば、大口商品や石油に対する日本の需要が下がれば、市場の価格圧力も弱まる。他にも、復興作業による日本国内需要の高まりは、輸出を減らし、輸入を増加させるため、世界の貿易バランスの改善にもつながる。
しかし、日本の災害が経済に与える影響については、長期的かつ広い視点から分析する必要がある。日本の貯蓄率の減少、債務残高の増大、高齢化などの問題を考慮すると、日本は今後、弱気な世界経済に対し融資を求めるようになるかもしれない。
世界経済は衰退の余波がまだ消えておらず、非常に脆弱である。世界の工業生産高やGDPは増大したが、まだ多くの先進国では本当の意味での経済回復を実現できていない。ドイツを除く先進国の失業率は依然として高く、不動産市場もまだ完全に回復していない(実際、多くのエコノミストが先進国の不動産市場はさらに悪化すると予測している)。2008年の金融危機が引き起こした多くのリスクはまだ存在している。
日本の災害による影響とその災害がどのような連鎖反応を引き起こすかを予測するためには、まず、次に挙げるリスク要因を理解する必要がある。