このような状況の下、米連邦準備制度理事会(FRB)および先進国の中央銀行は引き続き通貨の供給を増加、さらには新たな量的緩和政策を実施する可能性さえある。しかし、これは間違いなく火に油を注ぐ行為である。なぜなら、このような政策はインフレの温床になるからだ。
日本で発生した災難の影響を受けるのは日本経済に限ったことではない。日本の危機は世界経済に存在する悪循環を激化させるだろう。我々は今後数年で起こる出来事への対策を練るべきである。通貨の増加は債務とインフレ圧力の増大を引き起こし、金融バブルを生みだす。これは世界の金融システムに対する脅威である。各国政府と中央銀行はこれに対し警戒を強める必要がある。
企業も同じく、警戒感を抱く必要がある。すべての企業は今のうちから「インフレ準備」を始めるべきである。企業の抗インフレ能力を見積り、インフレの影響を回避する計画を立てて置くべきである。日本の地震は最終的に、日本だけでなく、我々全ての人々に影響を及ぼすのだ。
作者:Daniel Stelter アメリカ
ボストンコンサルティンググループ(BCG)のシニア・パートナー。同社コーポレート・ディベロップメント・プラクティスのグローバル・リーダー。ベルリン事務所に駐在。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月17日