2012年は財政と金融の危機が交差し、深層に潜んでいた問題も顕在化、さらに変革の風も吹き荒れる。世界経済は重要な年を迎える。今年は各国指導者の気力と知恵が測られるだろう。
債務の影が世界の復興を阻む
国際通貨基金(IMF)はこのたび発表した「世界経済見通し」の中で、「欧州債務危機が世界経済の回復に深刻な影響を及ぼす」と警告。また、世界経済の成長率を2012年が+3.3%、2013年が3.9%と予測し、前回の予測よりそれぞれ0.7%、0.6%下方修正した。
世界銀行が発表したレポートによると、世界経済は現在、「非常に厳しい」状態である。ユーロ圏の債務危機が「強い逆風」となり世界に影響を及ぼしており、これがさらに悪化すれば、2008年、2009年よりも厳しい状況に陥ると予測した。
国連は、「2012年世界経済情勢と見通し」の中で、2012年は非常に重要な年であるとし、世界経済は成長する可能性も衰退する可能性あると、煮え切らない分析結果を残した。
世界の三大機関ともに2012年の経済情勢についてはネガティブな回答を出した。ある専門家は、「欧米、特に欧州の債務危機、新興経済国の経済動向、中東など地域の情勢が、今年の主要なリスクとなる」との見方を示した。
今年大統領選挙を迎えるアメリカ経済はまだ復興できそうにない。ここ半年、アメリカ経済はやや回復を見せたが、財政赤字や不動産の不振、失業率の高止まり、投資の鈍化などネガティブな要因が依然として存在している。IMFは、今年のアメリカの成長率を1.8%と低く予想した。
世界の成長を牽引する主要新興国にとって、「成長の安定」こそが2012年の重要課題である。先進国の減速が確実となっており、主要新興国も低迷すれば、世界経済は二番底に突入する確率が高くなる。そのほか、イランの核問題にも変化があるとみられ、地域の混乱が続き、原油価格が大幅に上昇するなどネガティブな要因が続けば、世界経済は間違いなく減速する。