危機が経済周期によるものか否か、各国の力で復興できるか否かについては各界で論議を呼んでいる。しかし、今回の危機が変革の力を呼び起こし、ある積極的な動きが将来の動向にポジティブな影響を与えているのは確かである。昨年、購買力平価ベースで、世界経済における先進国と新興国の比重が史上初めて平衡化した。世界銀行のゼーリック総裁は、「経済、観念、態度、どの点においても、危機が世界に重大な変化をもたらした」と述べ、世界の勢力図に変化が生じたことを確認した。
成長の原動力はアメリカ、ヨーロッパ、日本から新興国へと移った。世界経済の多様化が進み、経済・貿易、金融、投資、通貨における勢力の再構築が加速している。新興国は地位が上昇し、世界の金融市場の安定を維持し、世界経済の調整を促進する重要な力になりつつある。
成長モデルの点からみると、金融市場の成長と実体経済をマッチさせることや、資源消費型からエコ・持続型への転換などが求められる。現在、先進国は過度な赤字を出す消費歳出モデルを見直し、新興国は輸出依存型のモデルから脱却し、内需の拡大と産業レベルの向上に努めている。