「海洋石油981」が掘削を開始したことは、中国の海洋石油産業の「深海戦略」が実質的な一歩を踏み出したことを意味する。「象徴的な意味がある」と話す厦門大学エネルギー経済研究センターの林伯強主任は、深海での石油・ガス資源の開発は国内の石油供給を保証し、対外依存度を減らす有効策だと見ている。
中国の陸地と浅海地域では40-50年にわたって調査が行われ、調査の実施度合いも高く、新たに見つかった大型の石油・ガスが産業を引き継ぐのは非常に困難である。南中国海の石油・ガス埋蔵量は中国全体の3分の1を占め、その70%が153.7万平方キロメートルの深海地域にある。南中国海の石油と天然ガスの確認埋蔵量は世界でそれぞれ5番目と4番目に多く、世界の重要な天然ガス埋蔵地域であり、「第2のペルシャ湾」とも言われている。
独自の技術で南中国海の開発で有利に
これまでは自然環境が極めて悪く、開発技術が難しくコストが高いことに加え、深海における油田掘削のコア技術が不足していたため、中国は南中国海の深海で石油・ガス資源を効果的に開発できていなかった。しかし、この「ブルー・オーシャン」に多くの国が大きな望みを抱いている。資料によると、フィリピンは2011年2月と7月、2012年4月に主権争いのある海域の石油・ガス開発について国際入札を実施することを表明している。フィリピンのエネルギー自給率はわずか7.9%である。そのほか、ベトナム、マレーシア、ブルネイなどの国営の石油会社も過去に南中国海の原油開発に乗り出している。
中国現代国際関係研究院の陳慶鴻研究員は、「フィリピンなどの南中国海問題における姿勢には深い利潤動機がある。フィリピンなどの企業は主権争いのある海域で調査や開発を行い、それを既成事実化して問題を国際化し、争い解決を難しくし、南中国海から多くの石油・ガス資源を獲得しようとしている」と語った。
林伯強氏は、東南アジア地域の国営の石油会社には優れた技術がないため、欧米の大手エネルギー会社と協力して同海域から利益を得ると分析する。またある統計から、南中国海で掘削を行う西側のエネルギー会社は200社、作業員は千人にのぼり、そのほとんどが日米欧の大手石油会社であることがわかっている。
陳慶鴻氏によると、中国が持つ独自の深海における石油ガス調査・開発技術は、中国が南中国海の主権を守るうえで重要な役割を果たすと同時に、周辺国との共同調査・開発の基盤にもなる。このコア技術により、中国と周辺国は対話において発言権を獲得できる。「「中国は南中国海の開発において有利な立場を獲得した」と陳慶鴻氏は強調した。
海洋石油・ガス開発で「中国モデル」構築