2.「技術で市場を創造する」理念
次に日本政府は、将来の産業戦略に対する思考を成熟させてきている。「技術で市場を創造する」という斬新な理念が、徐々に経済界や政治界に浸透してきているのだ。実際、日本国内ではすでに「新市場、新産業」の経済発展戦略の思想が広まっている。つまり新興産業の持つ潜在的成長性を利用しながら、国内外の市場で新たな需要を掘り起こし、全く新しい分野で一気に発展していくという戦略だ。
たとえば、福島の原発事故の余波はまだ去ってはいないが、それでも日本政府は東南アジアや中東など海外に対し、原発技術を積極的にセールスしている。原発の建設や核エネルギー技術を輸出することを通じて、真の意味で「技術で市場を創造する」戦略目標を達成したいと考えているのだ。加えて、海外市場で新たに生まれた需要は、右肩下がりを続ける日本国内市場を代替するもの、つまりカンフル剤になってくれる。
また重視する産業として、介護や新エネルギー、クリエーティブ、ハイテクなどの分野を挙げている。政府はこれらに対する支援を強化し、市場を掘り起こし、産業規模を高めようとしている。日本の大企業も、主体的に政府産業政策の試金石としての責任を積極的に果たそうとしている。たとえば、石油など戦略的エネルギーが不足しがちな現在、トヨタやホンダなど主要自動車メーカーはEVの開発に巨額の投資を行っている。同時に他国競合メーカーに先駆けてEVの大規模生産を行い、市場に投入している。
日本政府は国内産学連携システムをうまく利用し、レアアースを使用しない自動車エンジンの開発を成功させた。日本の自動車メーカーにとってレアアースの不足は長期的懸念となっていただけではなく、次世代自動車産業の核心的技術にもなりうる技術といえる。
3.「技術集約型」企業の支援政策