▽人民元の使用範囲がますます広範囲に
人民元の国際的な地位がますます高まっていることについて、対外経済貿易大学金融学院の孫東昇副教授は次のように述べる。地位上昇の基本的な原因は2つある。1つは、中国の経済的実力が急速に伸びていることだ。経済規模からいえば、中国はすでに世界2位の国であり、世界の貨物貿易では1位の輸出国であり、2位の輸入国だ。もう1つは、1990年代に金融危機が発生した後、中国は人民元を切り下げしないと宣言して、世界から賞賛されたことだ。人民元は周辺国に歓迎されるようになり、国境貿易での決済に使用されるようになった。2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟した後には、中国の国際収支はダブル黒字が続き、人民元は緩やかな上昇を遂げた。
ある資料によると、11年に貿易決済の中で人民元建て決済が占めた割合は、年間の貨物輸出入額の10%に相当した。香港上海銀行(HSBC)の予測では、今後3年間で30%を占めるようになり、収入と支出の割合は1対1.7になる。人民元は外に出るだけでなく、帰ってくる分もまた大きいのだという。ここからわかることは、人民元の国際化は中国自身のニーズでもあり、世界が安定した取引に便利な通貨を獲得することでもあり、国際通貨システムの改革にプラスになる、ということだ。
中国投資有限責任公司の金立群監事長は、「現在、対外貿易では人民元を用いた投資がすでに始まっており、世界の貿易額全体の0.3%から0.4%を占めている。この規模はそれほど大きなものではない。われわれは引き続き前を向いて進み、より多くの貿易取引や投資取引が人民元建て決済を行うことを奨励していくべきだ」と話す。
長期的にみれば、市場ニーズに駆り立てられた人民元国際化は必然的なことだといえる。