▽人民元の役割誇張は「無邪気すぎる見方」
世界銀行は昨年に発表した報告の中で、準備通貨について3つの長期的な予測をうち出した。そのうちの1つは、25年には米ドル、ユーロ、アジア通貨または人民元の鼎立状態が出現している可能性が最も高いというものだ。これは比較的楽観的な予測だ。
未来の発展の道筋や方向性について、孫副教授は次のように話す。第一に、自国の金融市場を改善し、人民元がUターンするためにより多くの投資ルートを提供する。第二に、資本収支における人民元の完全な自由交換を段階的に実現する。第三に、香港などの地を利用して人民元オフショア市場を建設する。こうした措置は人民元国際化の条件を改善するが、人民元の市場競争力を決定づけることはできない。中国の輸出製品の競争力こそが人民元の競争力を決定するのだ。現在の輸出製品は主に価格的優位に依拠しており、科学技術の優位に依拠しているわけではなく、製品の代替可能性は高い。よって人民元国際化は引き続き長い道のりを歩かなくてはならない。
ある専門家によると、人民元国際化は市場を通じて行われるという。人民元国際化は地域や機能をめぐり長期にわたって開拓進行していくプロセスであり、人民元国際化プロセスの中では、金融市場の育成、監督管理システムや調整コントロールシステムの改善、資本流動のルート、為替レート形成メカニズムや経済成長モデルの転換などとの連動が必要だという。
中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の劉明康元主席は、「人民元国際化は単なる流行語ではなく、政府がうち出した『一括計画』(一攬子計画)の重要な構成要素だ。人民元がまたたくまに世界で極めて重要な役割を発揮するようになるといった論調は無邪気すぎる見方だ」と述べた。
「人民網日本語版」2012年6月6日