▽国際化は一日にしてならず
それでは人民元国際化をどのように安定的に推進していけばよいのだろうか。孫副教授によると、人民元国際化は実際には市場の選択の結果だ。ある国の主権通貨が国際通貨となりうるかどうかは、通貨を発行する国がどのように国際化を推進するかによって決まるのではなく、その通貨の国際競争力によって決まる。市場が奉じるのは「弱肉強食」の法則であり、「良貨が悪貨を駆逐する」という考え方だ。ある国の通貨が国際市場で広く受け入れられる「良貨」になるかどうかを決める要因は何だろうか。それは通貨発行国の科学技術力であり、科学技術力がその国の通貨を「良貨」たらしめる根本的な要因だという。
孫副教授は次のように強調する。科学技術力は通貨発行国の製品の国際的競争力を決定づけており、製品が国際的な競争力を備えていなければ、その国は国際貿易における通貨選択のプロセスで発言権をもつことができず、自国の通貨による決済を選択することができない。またより多くの貿易パートナーがこの通貨を選択することもない。よって人民元国際化を推進する根本的な方法は、国の科学技術力を早急に高めることであり、イノベーション型国家を建設することであり、自国製品の国際市場での競争力を高めることであるといえる。
周行長によると、人民元国際化は主として総合的な実力と金融市場の発展の結果である。人民元が国際化できるかどうかは、最終的には市場の選択だ。人民元には潜在力があり、将来的には国際市場で受け入れられる通貨の一つになる可能性があるという。
国務院発展研究センター金融研究所の朱明方博士は、人民元の市場には深層レベルの問題点が多いため、人民元国際化が一日にしてなることはなく、中国の金融経済の発展と歩調を合わせることが必要だと注意を促す。