日本電子産業衰退の背景にあるもの
朱氏は、「韓国、台湾、中国本土の電子産業チェーンの台頭により、日本企業が強みとしていた低コストは、現在高コストになっている。また日本の端末機器メーカーのサプライチェーンは閉鎖的で、日本企業の集積回路ばかりを使用している。そのため、日本企業は電子産業チェーンのハイエンド製造技術を把握してはいるが、コストを削減できずにいる」と分析した。
この劣勢は、日本企業から近年伝わっているリストラ・赤字に関するニュースに反映されており、産業のバロメータとされる展示会でも明確に示されている。今年10月12−15日に香港で開催された、グローバル・ソーシーズ社(Global Sources、ナスダック: GSOL)主催の2012年秋季エレクトロニクスショーでは、約4000のブースのうち、中国本土・香港・台湾メーカーが圧倒的多数を占めていた。
朱氏は、「日本企業はかつて、高度な精密加工技術によるコストパフォーマンスで、すべての消費類電子端末機器で高い競争力を誇っていた。しかし現在は、カメラ、ビデオカメラ、プリンター等の精密加工を中心とする端末機器を除けば(日本企業はこれらの製品で、引き続き先頭をキープする)、日本企業の端末機器の競争力が低下を続けている。アプリケーションの革新を支柱とする端末機器、携帯電話等の競争力が、今後も低下を続けるだろう」と述べた。