いったん中国の国民の所得が上がれば、これが中国の消費を大きく促すことになるが、中国の労働力コストが上昇するに伴い、「メード・イン・チャイナ」の競争力も低下する。日本を含めて多くの国が同じような過程を歩んできており、これはとても正常なことだ。
長期的には、中国経済は必ず回復するだろう。これは日本にとっても有益だ。日本の新政府には、より国際的な視野で周辺国と友好関係を保ってほしい。
米国市場の先行きについては、慎重ながらも楽観的な見方を持っている。なぜなら、現在米国の住宅販売件数はすでに緩やかに回復しているからだ。住宅販売件数は米国の経済を読み解くデータの核心であり、これは一つの非常に良い兆候だ。
個人的には、米国の「財政の崖」(2012年末から13年初頭にかけて米国で減税の期限切れと政府支出の強制削減がほぼ同時に訪れることに対する懸念)はあまり大きな問題ではない。議会と民主・共和両党が「財政の崖」がもたらすリスクを認識していれば、最終的には折り合いが付き、解決策が見つかるはず。米国は過去にもこのような問題を何度も解決してきた。今回の金額は確かに巨額ではあるが、一部のいわゆる「富裕層」が新しい税制徴収法に従うことになる。しかし年収10万米ドル(約875.6万円)以上という「富裕層」の基準をめぐり、激しい論争が起こっている。「財政の崖」がもたらすリスクが一体どのぐらい継続するかは、この論争の継続期間や論争に対する市場の反応によって決まる。このため、「財政の崖」には小さな確率だが依然としてリスクが存在する。